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吉田桂子先生のボタニカルアート作品がグッズになりました。
ご興味のある方はどうぞご覧ください。

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コンテンツ更新情報


吉田桂子 略歴
横浜生まれ
多摩美術大学卒
大手アパレルメーカーに服飾デザイナーとして勤務の後、画家として独立
英国王立園芸協会(RHS)ゴールドメダリスト
日本ボタニカルアート協会代表

11月のタイトル花

プテロスティリス

プテロスティリス

この15~10cmほどの小さなラン科植物にはプテロスティリス’ナナ’と書いてありました。ネットで色々調べてみるとPterostylis属fureillataとかtoveyanaと書かいており、自然交雑種も多いとのことでした。私の描いた個体は種名が書かれておらず、一足飛びに’nana ナナ’と個体名が書いてありました。
う~ん学名って難しいですね......

「名前には意味なんてない。記号にしか過ぎない」と言った世界的に有名な日本の画家の言葉を信じます。

このかわいい植物の存在こそが全てなのです!!画面に学名を書き込んでなんとなくやった気になっていた若い頃......いくら学名が書いてあっても絵が正確に描けていなければ何の意味もなさない......それがボタニカルアートであると痛感します。

この作品はお母様の誕生日プレゼントにと言う方の元へお嫁に行きました。
お母様のお名前が’ナナ’さんと言うそうです。
大小並んだ小さな2本のランはまるで仲の良い母娘のようにも見えました。

画:プテロスティリス 吉田桂子
文:吉田桂子

10月のタイトル花

アオツヅラフジ

アオツヅラフジ

このアオツヅラフジの絵は「1番最初の」作品です。
「1番最初の」とあえてかぎかっこでくくった理由はアオツヅラフジを何度か描いているからです。

何度か過去にお話ししたと思いますが、私は同じ植物を何度か描くことは少なく、すごく気に入った植物だけはしつこく何度も描きます。
なのでこのアオツヅラフジは私のお気に入りの植物なのです。
何と言っても実が大変美しく私が大好きな青紫色をしています。この作品では描いていませんが、花は雄花と雌花を別の株に咲かせます。短く言うと「雌雄異株」です。
葉の形も色々です。やや卵型のものから裂片のある、三角形の様なものまであり、どう言う理由でこのバリエーションが出てくるのか分かりません。

最寄り駅までの歩道脇のアスファルトに毎度アオツヅラフジが芽を出して花を咲かせています。きっと雄株なのでしょう。実を付けることはありません。聞いたことがないけれどテンナンショウの様にいつか大株になったら私の大好きな青紫色の実を付けないかな......というも前を通るたび祈っています。

画:アオツヅラフジ 吉田桂子
文:吉田桂子

9月のタイトル花

バラ・イブミオラ

バラ・イブミオラ

最近はチェーン系の花屋でもオールド風の珍しいバラが売れているようです。オールド風の趣があり、香りの良いバラでイブピアジェ(イブピアッチェ)という品種があります。しかしこのバラの名前は「イブミオラ」と言います。

今からずいぶんと前、それこそ,まだまだ切り花のオールドローズが珍しかった頃、渋谷の東急東横店内にあった青山フラワーで購入しました。イブピアジェより少し淡い桃色で強い桃色の縁取りは開花するとなくなってしまいます。このバラを店頭で見かけたのは、この時一回きりで、この後イブミオラを花屋で見かけ事はなくなりました。

近頃よく花屋で見かける似た花型のイブピアジェが意外に強健品種であることを考えると品種改良に使われたのかも......なんて思ったりもします。

9月に入ってもまだまだ暑いけれど、頭の中だけ秋の気配......
秋風に揺れるバラの花が見たいと思う今日この頃なのです。

画:バラ・イブミオラ 吉田桂子
文:吉田桂子

8月のタイトル花

フクシア

フクシア

この植物を始めて見たのはいつ頃だっただろう。
記憶をたどると父が大切に育てていたハンギングだったような気がします。
当時父は「ホクシア」とか「ホクシャ」とか言っていたと思います。
私は「フクシア」と発音するのが好きですが、これが正しいか不明です。

その後、イギリスのガーデン書やアンティークのボタニカルアートで見かけるようになり、心の中にいくつかある憧れの植物となりました。
そして10数年前にかわいいフクシア達に出会いました。
確か付いていたタグには「天使のイヤリング」と書いてあったような......ん?......「妖精のイヤリング」だったかしら......?どちらにしても私にはかわいいワンピースを着た小人の様に見えます。

この作品は「○○のイヤリング」シリーズの色々な花を描き留めたものです。実際にはもっともっと沢山の色や形があるフクシア......ぜひもう一度描いてみたいものです。

そうそうこれは人から聞いた話ですが、天使と妖精の違いをご存じですか?天使には鳥の羽が付いていて、妖精には虫の羽が付いているそうです。なのでやはりフクシアは妖精かな......と思ってみたりもします。

画:フクシア 吉田桂子
文:吉田桂子

7月のタイトル花

ミルトニア スペクタビリス

ミルトニア スペクタビリス(あるいはモレリアナ)
miltonia spectabilia(or moreliana)

ラン科の花をあまり描かなくなった......以前は狂ったように描いていたのに......住環境も変わり、室内でのお世話も大変になったせいもある。タイトル花に何か夏咲きのランの絵を載せたいと思い、この作品画像を引っ張り出してみた。

「え~とこのランの名前何だっけ......?」と考えるとまるでお告げのようにスペクタビリスという声が頭の中でする......
「え~属名は何だっけ......?」とルーペをかざしてポジフィルムのはじの方に見えるかすかな文字を読むと......

「ミルトニア スペクタビリス モレリアナ」と読める。最近はランの属は大幅に動いたり新しい属や人口属などもあるのでネットで再度確認すると......
「???」スペクタビリスとモレリアナはそれぞれが原種の種名となっている。

この作品を描いたのはもうずいぶん前の事で何で2つの種名を書いたのかも記憶のかなた......おそらくはついていたタグ通り書いてあるので、ひょっとすると正確にはスペクタビリス×モレリアナだったのかも知れない。

不用意な学名を書いた自分に反省しきりなのでした。

画:ミルトニア スペクタビリス(あるいはモレリアナ) 吉田桂子
文:吉田桂子

6月のタイトル花

ムシトリスミレ

ムシトリスミレ pinguicula Primuliflora

この可愛らしい植物の学名はPinguicula primuliflora
と言います。食虫植物として有名なモウセンゴケ達の仲間です。モウセンゴケもそうですが、こんなに可憐で可愛い花を咲かせるので「食虫!!」なのかと思います。原産地はアメリカ大陸だったと思うのですが、2,30年前から日本でも帰化しているのが確認されている様です。本国アメリカでは珍しい植物の様ですが、日本では個体数が増えているとの説もあり、そのうち日本で普通にこの可愛い花が見られるようになるかも知れませんね。

「食虫」の話に戻すと、ムシトリスミレはモウセンゴケと同じように、葉の表面から粘着力がある消化酵素を出し虫を捕えるようです。
「美しいバラにはトゲがある」の逆ですね。「可愛いムシトリスミレには消化酵素がある」ある意味トゲよりももっと怖い話ですね。

画:ムシトリスミレ 吉田桂子
文:吉田桂子

5月のタイトル花

ドクダミ

ドクダミの花の匂いをかぐとコリアンダーを思い出す。コリアンダーはパクチーとも香草(シャンツァイ)とも呼ばれ日本人の中では好き嫌いのはっきり分かれる食べ物のひとつです。私は大好き!!の側なのですが......

思い起こしてみると子供の頃引き抜いた草の中にドクダミが入っていて
「クサ~ッ」と一所懸命に手を洗ったかすかな記憶が......

大人になってお酒をたしなむ様になり、食がいつのまにか変わっていつしかコリアンダーと共にドクダミの花の香りは好きな匂いになりました。

しかし庭ではあまりにもはびこるドクダミ......
好きとは言えいなくならない様に駆除をしています。

この古い作品の様に植物画にとってドクダミはかなり良いモデルだからです。「いつかまた描く時がくるかもしれない。」と思っています。

「雑草と言う名前の植物はない」の名言の通り、我庭で完全に駆除される
植物はありません。

画:ドクダミ 吉田桂子
文:吉田桂子

4月のタイトル花

クラシック・チューリップのブーケ

チューリップ!そしてチューリップのブーケ!!何枚描いたことでしょう。
植物画家の中では単子葉類やチューリップみたいな「ツルン」とした植物を苦手としている方も沢山いるようです。

が.....私はその真逆のようです。単子葉類大好き。チューリップは描くのが大得意です。一重のチューリップは何故だか私を過去の記憶へと連れて行きます。
暖かな日
赤や黄色のチューリップが咲いている庭。
幼稚園の制服を着て、庭で撮った記念写真......

チューリップはいつも穏やかな郷愁の念を私に抱かせます。

この作品は故佐藤廣喜氏へのオマージュでもありました。
子供の頃見た絵本や植物図鑑と佐藤先生のチューリップの絵はいつも重なります。ひょっとすると先生の絵を見ていたのかもしれません。

もの心がついた頃から絵を描きだした私......
裕福な家庭ではなかった私にとってのキャンバスはチラシやカレンダーの裏紙でした。今はフランス製の高価な紙と絵の具で植物画を描いているけれど、世の中的にはスタートとなる4月になるとチューリップと共に純粋な心で絵を描きはじめた頃の事をいつも思い起こします。

画:クラシックチューリップのブーケ 吉田桂子
文:吉田桂子

3月のタイトル花

ヘレボルスとチューリップのブーケ

ヘレボルスとチューリップのブーケ

作品のサインを見ると年度が入っていないので随分前の作品のようです。
私の作品のサインは作品が描き上がった年度と月が入っています。なので春の花の絵なのに秋の日付だったりします。ボタニカルアートは作品制作に長い年月がかかります。実物の花を良く観察して、いくつもの季節を越えて描くからです。ですからサインの下の日付は作品の仕上がった年月を入れてあり、スケッチした日付や場所が明確な作品の時は画面のはじに添え書きをするようにしています。

さてこの作品ですが、確か二子玉川のガーデンアイランド内の第一園芸(現在はありませんが...)さんで個展をさせて頂いていた頃の作品です。

大好きな緑と黒紫のヘレボルスに原種系のチューリップとアネモネを添えた作品です。ピンクや白もかわいいけれど、やはりこの2色はなんとなく「私の色」と思えてしまいます。ボタニカルアーティストの方々は皆さん作風や研究テーマがあると思うのですが.......私は色にもこだわりがある様です。

「ある様です」と言うと他人ごとの表現になりますが、自分の事ってなかなか解らないものです。しかし最近はしみじみ緑と紫が好きなのだと感じます。特にヘレボルスは私の好きな色や形が全部盛りなので、まだまだ沢山描きたい植物のひとつなのです。

画:ヘレボルスとチューリップのブーケ 吉田桂子
文:吉田桂子

2月のタイトル花

スノードロップ

スノードロップ

何度描いた事でしょう。私は大好きな花は何度も描きます。
スノードロップもそのひとつです。
今から4半世紀前の事、RHSのロンドンフラワーショーに参加した時の美しくかわいらしい植栽が忘れられません。
フクジュソウやコームと共にぎっしりと植えられていたスノードロップ......当時日本では見られない感じの品種もあり、贅沢な植栽を見てさすがガーデニングの国と思ったのでした。

期待と不安な気持ちで単身参加したフラワーショーでしたが、ロンドンの花好きと沢山交流をして、ゴールドメダルの栄誉を頂いた思い出とスノードロップは重なります。

戯曲で有名な「森は生きている」の中に登場するユキワリソウはスノードロップとも言われています。貧しい家庭の少女が銀ギツネのシューバの為に冬の中をさまよい歩き12月の妖精に助けられてユキワリソウを見つけ、最後には森の中に花を摘み取ろうと大挙してやってくる、王女や城下の人々が自然の恐ろしさ、厳しさ、そして素晴らしさを知る話です。

「雪のしずく」この美しくかわいらしい名前の花は春の喜びを教えてくれる花なのです。

画:スノードロップ 吉田桂子
文:吉田桂子

1月のタイトル花

カタセタム Viridiflavum 'Green Gem'

カタセタム

カタセタムが好き過ぎて、ひと頃は沢山の株を所有していたので当然ですが作品も沢山描いています。小型の株から大型のもの、花色も淡いピンク、黒褐色、緑色等々、バリエーションが豊富で画家心をくすぐる蘭なのです。

さてこの蘭はずい分と昔に入手して描いた物です。入手した相手を今となっては思い出せないのですが......札についていた学名通りCtsm.Viridiflavum'Green Gem'と表記してあります。

蘭の場合、一代交雑種が販売されていることも多く、札には両親の名前がついていたりして「これは学名が違うのでは?」指摘されることもあります。今回タイトル花として紹介するにあたり、少しネットで検索してみました。

あくまでも想像なのですがCtsm.Viridiflavum'Green Gem'の間に何かもうひとつ種名の表記が入る様な気がしました。Viridiflavumとは緑の花と言う意味にとれますので、他のカタセタムの表記を見るとCtsm.Pireatum Redと表記されている画像があったりします。なのでまずはこの雌花に似せた形の雄花を咲かせるカタセタムを探してみました。すると似た形の蘭を発見!

Ctsm.planicepsという種名のカタセタムです。しかしここで疑問が発生......ブランセプスはもともと緑色のランなのでわざわざ「緑の花」なんて名前を付ける訳がありません。しかもどちらかと言うと私の描いた花は緑と言うより黄緑なのです。

謎はふかまるばかりです。もう少し勉強したいと思います。

画:カタセタム Ctsm.Viridiflavum'Green Gem' 吉田桂子
文:吉田桂子

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