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コンテンツ更新情報


吉田桂子 略歴
横浜生まれ
多摩美術大学卒
大手アパレルメーカーに服飾デザイナーとして勤務の後、画家として独立
英国王立園芸協会(RHS)ゴールドメダリスト
日本ボタニカルアート協会会員

6月のタイトル花

ゼラニウム

ゼラニウム

昭和レトロ......若者の間ではアンティークまではいかなくても、もはやヴィンテージと言われるほど前になってしまいました。

今は社会がグローバルになり、世界中から珍しい植物が手に入ります。昭和は自宅に温室がある人も少なくて、植物を手に入れる時は冬越し出来るかどうかが入手する時の大切な要素でした。最近は気候変動の影響もあり、植物を入手する時は耐暑性はどうか気にします。

そんな時代、子供の私にとって洋風の植物、南国?の植物のイメージがあったのがゼラニウムでした。

美しい色の花を次々と咲かせ、少し変は匂いのするその植物は、冬になると家の中に入れて大切にしてもらっていました。今はほとんどのゼラニウムが軒下で冬を越すことができます。

この作品のゼラニウムは「アメリカーナ・シリーズ」と名がありましたが、このシリーズと言う言いかたは要注意です。流通用のグループ名である事が多く、ひとつひとつは全て異なる種名の植物である事が多く見られます。

作品ひとつひとつの花を見てわかるようにそれぞれの個性があり、美しい花を咲かせます。「名前なんて何の意味もない!!」けれどひとくくりで言われてしまうと「ひとつひとつに名前をつけてあげて欲しい」と思ってしまうのです。

画:吉田桂子「ゼラニウム」
文:吉田桂子

5月のタイトル花

ドイツスズラン

ドイツズズラン

この作品はずい分と前に描いたものです。この個体は花屋で購入した鉢植えのドイツスズランです。スズランには毒性があり。よく誤食の話を聞きます。この作品を描いていた頃「どうして間違えるの?」と思っていました。当時の私はフィールドワークもまだまだで、野生の日本スズランと出会う事が少なかったからなのです。そしてその考えは私の第二の故郷礼文島に行くようになって一変しました。

礼文島では日本スズランが多く自生しています。島の西側の海岸線に多く生えているようです。地質は草地にも生えますが、ガレ地の方が群生している気がします。

そして話は戻って誤食の話です。
礼文島の草地では色々な花々が咲き乱れます。ある区域では日本スズランと行者ニンニクが同時に見られます。という事は......そうなんです。日本スズランと行者ニンニクは一緒に生えている可能性があるということなのです。しかし、ここ礼文島はもちろん、日本全国に採取が禁止されている地域があることは言うまでもありません。

そしてこの日本スズランなのですが、私の作品のドイツスズランとは少し違います。葉もやや丸く、襞も少なく、広げた葉を良く見ると行者ニンニクに似ているようにも見えます。植物にあまりくわしくない人が花のついていない早春の日本スズランと行者ニンニクを見たら、確かに間違ってしまうかもしれません。素人考えの同定はとても危険なことなのです。

野山の恵みをいただく......最高の贅沢ですがこの贅沢をいただくにはやはりプロの案内人が必要そうです。

画:吉田桂子「ドイツスズラン」
文:吉田桂子

4月のタイトル花

シマツルボ

シマツルボ

6年程前......急に決まった自宅の建て替えでした。
木々も沢山切らなければならなくなり、草木類は急いで引っ越しとなりました。庭の引っ越しは古い家を解体するまでの3日間と限られておりました。

あまりに短い時間ゆえ、以前ガーデンアイランドで個展をしていた時にお世話になった方が、フリーガーデナーになっておられたので、泣きついて何とか珍しい植物を救出して植替えを行いました。もちろん限られた短い時間でしたので、移植をあきらめた植物も沢山ありました。そのひとつがこのシマツルボです。

シマツルボは小さな球根からヘビの様なシマのある、艶やかな葉を出し、花柄の先に濃い桃色の花を咲かせます。あわただしい引っ越しの中、球根を見つけられなかった事が今も悔やまれます。

最近はネットで何でも買える世の中になりました。
先日、思い立ってググってみると、ありました!山野草として売られている様です。

ターシャテューダー曰く「庭は1日にしてならず......」だったかしら?
父から受け継いだ庭はやっと私らしくなってきました。もう少ししたら我が庭にシマツルボをお招きしようと思います。

画:吉田桂子「シマツルボ」
文:吉田桂子

3月のタイトル花

ブーケ

美しい庭

3月を迎えると我が家の庭は一番美しい季節が訪れます。
30株程のレンテンローズが一斉に咲き乱れ、ヒヤシンス、ロムレアフラバ、バイモユリ、シュンラン、ニリンソウ、アネモネ......え~とあとは何があったかしら......ともかく沢山の春の花が咲き、心が浮き立ちます。

天気の良い日は庭の中をうろつき、ムサシアブミやカリカンサスの芽をじ~っと眺めては初夏の美しい庭を更に妄想したりするのです。
そして近所のノラ猫と会話したりしているうちに時が過ぎ、気が付くと30分なんてすぐに過ぎてしまいます。

この作品はそんな小さくて可愛い私の庭の一番美しい季節を描いた作品です。昨年10月に新作として小田急百貨店で行われた日本ボタニカルアート展で発表した作品ですが、コロナ禍という事もあり、ご覧になれなかった方もいらっしゃると思います。

私の美しい庭をお届けします。

画:吉田桂子「ブーケ 美しい庭」
文:吉田桂子

2月のタイトル花

デンドロビウム シルシフローラム

この花に出合ったのはいつの事だったでしょうか.......
それよりも前にまず、出合うと言うより......探していた事を思い出しました。

私がまだボタニカルアートを描きはじめたばかりの30年近く前に時は遡ります。当時はまだ大手アパレルで服飾デザイナーをしながら、画家になる事を夢見ていました。イギリスのアンティークが大好きでコスチュームジュエリーや洋書や古書そしてボタニカルアートのアンティークを買い集めていました。そんなある日の事、洋書の1ページに気になる植物を発見しました。

当時は仕事が忙しく出張や会議に追われながらボタニカルアートを描いておりましたので、変化の少ない蘭を描く事が多かったのですが、その時見た花の名はデンドロビウム・アグレガタムだった様に記憶しています。

当時盛んに行われていたラン展などでも下垂性の花穂をつける蘭は大変珍しく、見つけても入手出来る様な価格ではありませんでした。そんな事を繰り返しているうちに出合ったのがこのシルシフローラムです。

人目惚れをして購入。躍る気持ちで楽しく描きました。そしてあれからずいぶんと時が経ち、あの時の様に躍る気持ちで描く事が減ったきがします。
それはきっと植物との出合いが減ったからかもしれません。

良い絵を描きたい。そんな気持ちから昨年はボタニカルアートの教室を減らしました。感染症の影響もあり、植物との出合いを求めて活発に活動する事は出来ませんでしたが、きっとその時はまたくるはず......

心躍る植物との出合いを春の訪れを楽しみに過ごしています。

画:吉田桂子「デンドロビウム・シルシフローラム」
文:吉田桂子

1月のタイトル花

黄実のセンリョウ

黄実のセンリョウ

その昔、我が家の庭には大きなイロハモミジの木がありました。
今で言うところのシンボルツリーでしょうか......その木の株元には赤実と黄実のセンリョウの他、トクサ、ヤブコウジ、日本スイセン、スズラン、プリムラetc......と早春を楽しむ植物が植えられていました。お正月を迎えると2色のセンリョウを紅白に見立てて生けては床の間に飾って愛でたものです。

数年前に自宅兼アトリエを建て替えた折に、そのシンボルツリーも早春の植栽もなくなってしまいましたが、慌ただしい工事の中救出した黄実のセンリョウが最近やっと根付き、芽を出しました。まだ30cm程の茎が1本ですが、確実に根を張っている様です。

昨年は本当に色々な事がありました。でもいつも植物は変わることなく1日、1日を営んでいる様です。その変わらぬ姿に力をもらい、今年一年も頑張りたいと思います。

画:吉田桂子「黄実のセンリョウ」
文:吉田桂子

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