ボタニカルアートを描く人のための専門情報サイト

第45回ーレンテンローズブーケを描く

第45回ーレンテンローズブーケを描く

今月のタイトル花、レンテンローズブーケの彩色の手順をご紹介致します。

タイトル花でもお話致しましたが、この作品は何年もかかって描いた作品です。とりわけデッサンは時間がかかり、作品が大きいこともあって制作手順が残っておりません。彩色手順はかろうじて花ごとにデータ化して残っております。どのような気持ちで花の彩色手順を決めているのか・・・?ブーケを描く際に少しでも参考になればと思います。

ステップ 1

いよいよ彩色を始めます。左下と右の奥....
自分から見て遠いところを淡く彩色します。

彩色のステップ1

ステップ 2

次に中央奥も淡く彩色。ここで空間や葉の分量などを確認。つじつまが合わないところを発見したら、このくらいの段階なら十分修正できます。
今回は大丈夫そうです。

彩色のステップ2

ステップ 3

中心にある黄色の花を彩色します。本来ならその奥に花があるので、この花はもっと後で彩色するのですが、花がダメになりそうでしたので先に彩色しました。

彩色のステップ3

ステップ 4

左上方奥にある八重ピコティ―の花を彩色します。この花は大変珍しい花で栽培が難しい個体です。来年咲かせる自信が無いので急いで彩色。

彩色のステップ4

ステップ 5

ここは彩色の基本通り、4で彩色した花の手前にある花を彩色します。

彩色のステップ5

ステップ 6

左右のバランスを見る為に右側の八重のピンクの花を彩色します。
色は違いますが、形が同じ花をシンメトリーに配置してオーバルの構図が安定するように工夫しています。

彩色のステップ6

ステップ 7

6で形のバランスを見ましたので今度は全体の色のバランスをとります。
ベインという品種ですが内側と外側の色が対照的です。色の濃淡にとらわれずに内側の暗い部分を彩色してから外側を彩色します。そして周辺の葉も少しづつ彩色を進めます。

彩色のステップ7

ステップ 8

ここで少し急ぎ足で彩色です。なにせブーケは花まかせ。レンテンローズが一斉に咲き始めたので、彩色を急ぎます。比較的早咲きの緑の花を彩色した後、ワインのスポットがある黄花を彩色します。まずは黄色い部分を完成させます。そして必ず最後に中心のワイン色のところを彩色します。

全体を見渡しながら、葉や奥に見え隠れする花を彩色します。
奥を彩色した事で一番上にある白い花が際立ってきました。これくらいになってから彩色すると白い花は汚れませんので、白い花も仕上げてしまいます。

彩色のステップ8

ステップ 9

せっかくギアが上がってきたのに、中央や右側にある半八重の個体の彩色が難し過ぎて手が止まってしまいました。こんな時は無理をせず気分転換をして右下の黒花を描きます。これは私が得意とする花です。このあたりで一回全体を見渡して花柄(茎)を彩色します。つながりが大丈夫か確認します。

彩色のステップ9

ステップ 10

得意な花を描いた勢いにのって左側の黒花も描きます。
見ての通り「黒花」と一言で言っても、色々な黒花があります。2種類を同時期に描く事で微妙な色の違いを表現し易くなります。黄花も緑味から赤味を帯びた個体があるので同じように考えると良いでしょう。

彩色のステップ10

ステップ 11

左下のピンクの花を描きます。この花もとても難しい花でした。そばかすの色がとても複雑で淡いローズ系のピンクや少し黄味を帯びた赤などを加えて表現します。もちろんまずは萼を彩色してその次に花弁、そして最後にしべを描いています。

彩色のステップ11

ステップ 12

ステップ9あたりから少しづつ彩色していた中央のワインの花を仕上げます。
赤い絵の具は重ねに向かないので、下地にピンクを塗りある程度隠影がついたら一気に濃度を上げて彩色します。

彩色のステップ12

ステップ 13

12と同じく少しづつ彩色していた中央の八重の黄花を彩色します。まずは黄色の濃淡のみで彩色をして、その後がくの基部に見られる黄緑色の柄を彩色します。ここまでくればほぼ完成も見えてきました。全体を見渡して葉等の彩色を強めます。

彩色のステップ13

ステップ 14

いよいよ一番手前の花のひとつにとりかかります。我が家でいちばん沢山ある定番のピンクの花です。まずは萼の内側を彩色します。淡いピンクの彩色が終わったらワインのそばかすを入れてその後に花弁にしべを彩色します。
そして必ず彩色は奥から仕上げるが基本ですから手前にかぶって見えるの萼の外側は最後に彩色します。

彩色のステップ14

ステップ 15

さあ本当に最後の花です。緑にワインレッドのそばかすの個体を彩色します。この花はあまり花柄(茎)を伸ばしません。背が低い植物は手前下に描いておくと構図がとり易くなります。彩色手順は淡い色から、奥からを守り花を仕上げます。

彩色のステップ15

ステップ 16

ああ間違っていました!まだひとつ完成していない花がありました。
そうです、ステップ9で中断していた半八重の花です。何個体も採取して色を見比べ、色だしを行いなんとか彩色できました。

彩色のステップ16

ステップ 17

右下のつぼみを彩色して全体を見渡します。色や形が美しく混ざり合っているかどうか確認をします。もしも気になるところがこの段階で出てきてしまった場合は、後ろの空間や外側の余白に描き足して構図の調整をします。
今回は特にないのでこれで完成とします。

彩色のステップ17

powered by HAIK 7.3.7
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. HAIK

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional