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FloraJaponica展~英国KewGardens 2016年9月25日~10月1日

FloraJaponica展~英国KewGardens 2016年9月25日~10月1日

今回の旅は、世界遺産キュー・ガーデン(Kew Gardens)にて開催された「フローラ・ヤポニカ(Flora japonica)展」を訪ねた7日間の旅の様子をダイジェストでご紹介してまいります。

フローラ・ヤポニカ展(Flora Japonica)

Flora japonica

kew garden

世界で最も有名な植物園「キュー・ガーデン」は、イギリスの首都ロンドン南西部に位置する王立植物園です。132haという広大な敷地を有するこの植物園は、いまや植物園という事だけにとどまらず、大規模な研究施設でもあります。今回の旅の目的は、そのような性格を持つ、キュー・ガーデンにて開催された「フローラ・ヤポニカ展」の観賞とこの訪問の為に特別に一般公開して頂いた「図書館・標本室」の見学でした。

フローラ・ヤポニカと言えば、真っ先に思い浮かぶのが、かの有名なシーボルトとツッカリーニによって編纂された日本植物誌です。このサイトのブログでもご紹介させて頂いておりますので詳しい事は割愛致しますが、ご興味のある方はこちらへどうぞ。ブログ Flora japonica

さて、シーボルトとツッカリーニの日本植物誌が日本に植生する固有種を、川原慶賀ら日本人絵師達に「植物学的考察」に基づいた「植物画=ボタニカルアート」を描かせ、その第1分冊が刊行された1835年から181年。再び同じタイトルで、日本の植物学のパイオニアである牧野富太郎、幕末から明治中期に活躍した博物画家の服部雪斎、小石川植物園の画工であった加藤竹斎等の作品、及びの現代ボタニカルアート作家による作品によって構成され開催されました。そしてそれは、今なお魅力的であり続ける日本の自然とその美しさの刹那を描き留め続けた日本人画家達の努力の証しとも言えるものです。

フローラ・ヤポニカ展は、キューガーデンにある「シャーリー・シャーウッド植物画美術館(Shirley Sherwood gallery of Botanical Art)」にて開催されました。それでは、キューガーデンの入り口であるVictoria Gateから美術館までの様子と会場の様子、そして今回出品された吉田桂子先生の作品を簡単に動画にてご紹介致します。

キューガーデン(Kew Gardens)図書館と標本室(Library&Herbarium)

キューガーデンの入り口はヴィクトリアゲート近くにある研究施設には、図書館と標本室があります。原則的には研究者のみの利用に限られていますが、事前予約をすれば一般の方でも見学をすることが出来ます。では中の様子を動画にてご覧ください。

キューガーデンの温室群

キューガーデンには4つの温室があります。とはいっても現役は3つです。その役割を終えたのが現在、カフェレストランとして利用されているOrangery(オランジェリー)です。その名のとおり元はオレンジを冬越しさせる施設でした。

orangery

左の写真は現在のオランジェリー W・チェバースによる設計
右はオランジェリーの入り口、カフェレストランになっています。

初期のオランジェリーは植栽された木を冬の間だけ囲う仮設のものでしたが、17世紀の終わりには固定式の物が登場します。南側は木枠にガラスをはめ込んだ形で作られ、邸宅に一部となり、温室的な役割と社交場的な役割をかねていました。オランジェリーはいわば温室のプロトタイプと言えるでしょう。

キューガーデンのオランジェリーは1761年に建てられた物ですが、19世紀に入った頃から、南側の窓を大きくしただけのオランジェリーから、全面ガラス張りの現代的な意味での温室へと変貌していきます。それは産業革命を経て、鉄やガラス等の革新的な技術の取得と共に、拡大した英国の植民地から送られてくる熱帯の有用植物を栽培研究する為にはオランジェリーでは役不足だったという時代の要請がそうさせました。

そして、鉄骨とガラスによる現代的な温室が建設される事になります。
その代表格が園で一番最初、1844年から48年に建設されたパーム・ハウス(palm House)です。この技術は1851年のロンドン万博の会場であり、またこの時代にシンボルでもあったクリスタルパレスにも応用されました。
そしてパーム・ハウスに遅れること15年後、オランジェリーにあった温帯植物を収容する為に、1860年からパーム・ハウスの2倍の大きさを誇る、園内最大のガラス温室であるテンパレート・ハウス(Temperate House)の建設が始まり、すべての温室が完成したのは1898年の事でした。それでは、パーム・ハウスの様子を簡単に動画でご紹介致しましょう。

そして最後にご紹介するのはプリンセス・オブ・ウェールズ コンサヴァトリー(Princess of Wales Conservatory)です。

conservatory

三角形を基調にしたガラス温室は、キュー庭園確立を支援したオーガスタ王女(1736~1751 英国皇太子妃)にちなんで名づけられました。その後、破損し老朽化した26からなる温室群をまとめ、1987年にG・ウイルソンによる設計で再建され、時の皇太子妃であった故ダイアナ妃が開設を祝いました。中は乾燥熱帯、湿潤熱帯、シダ、果樹、食虫植物、特別展示室からなります。

Victoria&Albert Museum 見学

画像の説明

ヴィクトリア&アルバート博物館はケンジントンにある国立博物館で、ヴィクトリア女王(1819-1901年)とアルバート公(1819-1861年)が基礎を築いたことからこの名で呼ばれています。略称「V&A」。

この博物館の特徴は、現代美術・各国の古美術・工芸・デザインなど多岐にわたる400万点の膨大なコレクションで、特にファインアートという捉え方ではなく「デザインされた美しい物」という視点で、手作り品から工業製品に至るまで集められているところでしょう。それはまさしくデザイン博覧会とも言えるものです。

最寄り駅はサウス・ケンジントン駅で、自然史博物館、人類学博物館、科学博物館などに隣接していることから、自然が作り出した芸術的価値から人類が生み出した技術的価値まで、ありとあらゆる「物」を見ることが出来る場所と言えるでしょう。

アンティックマーケット見学

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ロンドンの東側、リバプールストリート駅近くにあるオールド・スピタルフィールズ・マーケット(Old Spitalfields Market)は17世紀からある古いマーケットです。私たちが訪ねた木曜日はアンティックの日で、古着、瀬戸物、雑貨や家具など様々なヴィンテージ品が並びます。マーケットはガラス張りの近代的な建物下にあるので雨の日も大丈夫。素敵な掘り出し物に出会えるかもしれませんよ。

オールド・スピタルフィールズ・マーケット
(Old Spitalfields Market)
公式サイト(英語)はこちら。http://www.oldspitalfieldsmarket.com/the-market/thursday-market/

セシルコート(Cecil Court)古書街

画像の説明

チャリングクロス・ロードはずれのセシルコートはレスタースクエア駅近くの古書街です。そもそもはチャリングクロス・ロード自体が古書店が軒を連ねる古書街として有名でしたが、残念な事にこの数年の間に、カフェや土産物屋の様変わりしてしまい、いまやこのセシルコートのみが昔のまま変わらずに残っています。ハリーポッターに登場する本屋のモデルになったお店があることでも最近注目されましたが、様々な個性的な専門性を持った古書街は、日本の神田神保町のように本好きにはたまらない場所と言えましょう。

ハリーポッターも良いけれど、やはりボタニカルアートを描く方には「植物画」が見たいですよね?植物画だけではありませんが、博物画を専門に品揃えされた本屋さんを見つけました。ご自分の勉強の為、ちょとしたインテリアとして等、探す楽しみはつきません。

storey's Ltd 公式サイト(英語)はこちら
http://www.storeysltd.co.uk/

レッドハウスを訪ねて

画像の説明

Frame

レッドハウス(Red House)は、1859年にウィリアム・モリスの自宅兼工房としてフィリップ・ウェッブの設計、ウィリアム・ケントの施工で建設されたアーツ・アンド・クラフツの原点となったカントリー・ハウス風建築の事です。現在はナショナル・トラストにより管理されています。

ウィリアム・モリス(William Morris、 1834年3月24日 - 1896年10月3日)は、19世紀イギリスの詩人、デザイナーで、モダンデザインの父と呼ばれ、様々な分野で活躍しました。生活と芸術を一致させようとするモリスのデザイン思想とその実践(アーツ・アンド・クラフツ運動)は各国に大きな影響を与え、20世紀のモダンデザインの源流にもなったといわれています。

中でも様々な植物をモチーフとしてデザインされたパターンは、壁紙、布地などになって再現され、今日でも私たちの生活を豊かな物にしてくれています。


ホテルとその周辺のご紹介

今回、私たちが宿泊したホテルとその周辺を簡単にご紹介しましょう。

画像の説明

セント・アーミンズホテル(ST.ERMIN'S HOTEL)はバッキンガム宮殿もほど近い、セント・ジェームスパーク(ST.James's Park)駅から歩いて5分程度と、大変交通の便の良い場所にあります。古風な赤レンガ作りの外観と白を基調とした内装が美しい英国ムード溢れる小さなホテルです。

部屋もシンプルで清潔。wifiも完備した、観光にもビジネスにも最適です。
朝食もビュッフェスタイルで、充実したブレックファーストが味わえます。

画像の説明

ホテル周辺には、バッキンガム宮殿他、ロンドン警視庁(写真左上)ウエストミンスター寺院(写真左下)ビッグベンで有名な国会議事堂(写真右下)など、政治の中心地です。

またセント・ジェームスパーク(ST.James's Park)駅(写真右上)はロンドン地下鉄の本部を擁する、アールデコ様式の建造物が有名です。

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