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第8回ーリンドウを描く

第8回ーリンドウを描く

通常植物の和名はカタナカで書きます。
しかし、一般的に文章で使われる時は「竜胆」と書かれます。
その由来は漢方薬に使われるその赤い根にあるらしい。
竜の胆のように赤い根から咲く、竜の目のように美しい花。
今回はリンドウの描き方を学びます。

美しい一時を逃さずに

エゾオヤマリンドウチシマリンドウ
リンドウを描くとき、どのくらい花が開いた状態で描くかは難しい問題です。
山で見るリンドウは曇りの日とお天気の日では開き具合が違ったりします。
参考作品1のエゾオヤマリンドウは、上向きに少し開くだけですが、参考作品2のチシマリンドウは平開します。個人的には「元気で天気」の時のリンドウを描くのが良いと思っています。

下記クリックして下さい。大きな画像がご覧になれます。
参考作品1 エゾオヤマリンドウ
参考作品2 チシマリンドウ

植物が伸びるように線も延ばす

デッサン図

皆さんは植物画を描くとき、どこから描き始めますか?
葉や花をいきなりリアルに細かく描いていませんか?
まずは、大まかな形を針金で作るようなつもりでデッサンしてみて下さい。(左図)
そしてその後、まるで植物が伸びる様に花や葉の基部から葉先に向かって描き始めます。次に徐々に細部の描き込みをすすめ、最後にH以上の硬さのエンピツで清書します。この作業が無駄と思っているかたが非常に多いですが、「急がばまわれ」です。必ずこの手順を踏むことが正確にデッサンする手段であり、上達法でもあります。



美しく開く5×2のパラソル

リンドウの大きな特徴としては、副片の存在があります。副片は種によっては平らで目立たないものもありますが、5裂した花被の間に小さな山が見られます。(参考作品3)これが副片です。これがあるためにリンドウの側面は傘をたたんだ様な形(図2)に見えます。そしてこのたたみ跡にそって見られる色の変化も見逃さないようにしましょう。
彩色図ゲンチアナ・ベルナ

下記リンククリックして下さい。大きな画像がご覧いただけます。
図2
参考作品3 ゲンチアナ・ベルナ

紫ではなく青

チシマリンドウのように明らかにピンクの花は別として、リンドウやキキョウ、ミヤマオダマキのような花の色を考えるとき、紫と思わずに、「青い花」と思った方が良い色が出る様です。紫色と思ってしまうと、初めからパレットで赤と青を混ぜてしまったりします。そうするとリンドウの透明感のある美しい色は出ません。図2のように下地に薄いピンクをいれる事によって、紫をパレットで作る効果を紙の上で作る事が出来ます。なおかつ、透明感を失うことなく彩色する事が出来るのです。

極端な緑の落差を

リンドウの場合、表葉と裏葉の緑色が極端に違うものが多いです。表現方法としては表葉の混色の際に、プルシャンブルーとミネラルバイオレットをいつもより多めにサップグリーンに入れてあげると、丁度良い色が出来ます。そして、その色で表葉をしっかり塗り、裏葉と茎はサラッと仕上げると、それらしい感じになります。
カラーパレット

作品作りにあたって

切り花のリンドウはまっすぐで味気ないものです。かと言って今回の作品のように外で描くことが出来ない方は、構図をじっくり考えましょう。最近は切り花でも、いろいろな品種がありますので、何色かの花を一枚の紙に描いても良いでしょう。ただし、2本描く際は葉と葉が重なりあう構図をとるか(2本平行が目立つ構図は良くないので)3本以上描いて華やかな構図にすることをおすすめします。参考作品のゲンチアナ・ベルナは山野草店でポット苗を購入したものです。このように小さいものから練習するのも良いのではないでしょうか。

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