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2013年タイトル花

2013年タイトル花

2013年タイトル花

12月のタイトル花

ノエル

It is not easy to find happiness in ourselves,and it is not possible to find it elsewhere. by Agnes Repplier
自らの中に幸福を見つけることは容易ではありませんが、それは、それ以外の場所で見つけることは不可能です。アグネス・レプリア
通常,ボタニカル・アートにおいて人工物を描く事はありませんが、その意味を考えるとこの作品は王道から外れてしまうかもしれません。何故かこの作品を描きながら少女の頃演じた「森は生きている」という演劇作品を思い出していました。貧しい少女が女王の懸賞金を得るために、マツユキソウ(スノードロップ)を探して冬の森をさまよい歩くという話なのですが、メーテルリンクの「青い鳥」のように、幸せの意味を問う作品であるように思えます。静かな雪の日、クリスマスの夜、雪のしずくがもたらす幸福が皆さんにも届きますように。
画:ノエル~ある冬の日に~
画と文:吉田桂子

11月のタイトル花

クヌギ

現在、東京農業大学グリーンアカデミーの教養科目において、植物画の講師をしています。この「クヌギ」は大学の敷地内にある、大木の一枝です。
「ドングリ」と言えば、帽子をかぶった愛らしいマテバシイの実を思い出しますが、ドングリはブナ科の果実の総称で、ドングリという木はありません。クヌギの帽子は少し変わっていますが、クヌギもブナ科の樹木なのでドングリの1種です。ドングリがなる、ブナ科の樹木は実が落ちていると「ああここにブナ科の木があったのか!」と気づかされます。硬い殻の内部の種子の大部分を占める子葉はデンプン質に富み、古来から人間や動物の貴重な食料として、多くの命を育むことにより、自らの繁殖を成功させるという植物の営みは本当にすごいものです。植物画を描くたびに、人間の小ささと、植物や自然の大きさを痛感する毎日です。
画と文:吉田桂子

10月のタイトル花

キイジョウロホトトギス

キイジョウロホトトギスの「キイ」は黄色の「キイ」
と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
実は「紀伊」の「キイ」なのです。
ホトトギスはユリ科の植物で、地域ごとに色々な種類が存在します。虫になったつもりで、花の中に入っていくと、その構造はまるで建築物のように立体的で、数学的です。子供の頃、算数と絵を描くことが好きだった私にとって、ユリ科の植物は大変魅力的な存在です。ほとんどのホトトギスは上向きに花を咲かせて、それはまるで雪の結晶のように美しく咲きますが、キイジョウロホトトギスは、うつむいて咲き、内側の赤い模様ものぞかないと見えません。
そんな、少し遠慮がちに見えてしまう、姿にもかかわらず、鮮やかで、蝋質の黄色いその花被片は精一杯の自己顕示のように見え、思わず共感してしまう、花のひとつです。
画と文:吉田桂子

9月のタイトル花

ダリア

ダリア(黒蝶・キューティー・ムーンストーン)
大好きなアンジェラ・アキさんの歌に
「ダリア」という歌があります。
別れてしまった初めて愛した人を思い出している、
ちょっぴりせつない歌です。
歌詞に「花言葉が”優雅”だから君に似合うよって、あなたは赤いダリアを買ってくれたよね」という一節があります。
本当かしら?とおもい、366日誕生花の本で調べてみると、”華麗”とありました。優雅で華麗な花、ダリアにぴったりな形容です。赤いダリアといえば「黒蝶」ですが、
今回描くのは2度目です。前回描いた個体と色、形が大分違うので色々調べてみると、どうも花色にもかなりの幅があるようで.....今回描いた個体は外側は真紅になり、中心は青黒い赤の花です。上段中央のラベンダーブルーの花は「ムーンストーン」という品種です。
名前と色に惹かれて描きました。デッサンの良し悪しが仕上がりにでる花です。
上段右下のかわいい花は「キューティー」です。濃いピンクと舌状花が広く前に花を被っている小苞の半透明の緑色のコントラストが魅力的です。
下段の葉のついた花はマダムダリアシリーズの「ヨギ」です。
このシリーズのダリアはひとつひとつの花が大きく異なり、
それぞれに種名がついていました。コスモスを連想させる花色と形で、懐かしい気持ちになるダリアです。
画と文:吉田桂子

8月のタイトル花

バナナ

バナナ
この作品は2回発表しています。1回目は初めての個展のおりに植物体のみを描いたオーソドックスなボタニカル・アートとして発表しました。その後、鳥や背景など原産地の父島を思いながら描き加えて発表しました。

このバナナは東京農業大学でバナナの研究の第一人者でいらっしゃる天野先生から頂いたものです。初めは大学の敷地内にあるバショウの花が欲しくて研究室を訪ねたのですが、お話が盛り上がり父島の農場からバナナの原種を送って頂けることになりました。モンキーバナナほどの大きさの原種バナナの果実の中にはカラスウリの種ほどの大きさの黒い種がぎっしり詰まっていて食べるところはほとんどありません。いつも私たちが食べているのは種なしバナナであることを実感致しました。

大きなバナナをバケツに生けて描いたのですが、甘い香りに誘われて小バエがたくさん集まってきて描くのが大変でした。バナナの花にはミツスイの鳥たちがやってくるとのお話をうかがっていたので、本当はメグロを描きたかったのですが、メグロは母島にしかいないとの事だったので、メジロを描きました。ぜひ一度父島と母島に出かけ、ボタニカル・アートを描いてみたいと思っています。
画と文:吉田桂子
メグロに関するサイトはこちら
独立行政法人 森林総合研究所

7月のタイトル花

トケイソウ

私はトケイソウが大好きです。
あの構築的な花、ツル性の姿、切れ込んだ葉、そして時には大きな実をつける種もありますが、そのすべてが大好きです。「植物学ラテン語辞典」をひくとPassifloraは「情熱の花」の意とあります。しかし、ヨーロッパではこの花はよく「キリスト受難の花」と言われてきました。「どこが...?」と不思議に思いますが、三本の柱頭をキリストの両手両足に打ち込んだ釘、五つの葯はキリストの五つの傷跡、雄蕊はかなづち、それぞれ五枚の萼片と花弁はペテロとユダを除く10人の使徒を連想したようです。
会社員をしていた頃、イタリアで古いボタニカルアートからトケイソウの花を知りました。子供の頃はクレマチスと混同していた気がします。
赤花、黄花、紫、白、クラゲのような花被のもの....
本当にたくさんの品種を描きました。
今一番描きたいのは、下描きの途中で止まっている赤花のトケイソウです。
画と文:吉田桂子

6月のタイトル花

サラバンド

サラバンド(ト)SARABANDE [CoooricoX Moulin Rouge 1957年フランス
サラバンドはメイアンのバラです....と聞けば赤が美しいバラであろうと想像がつきます。メイアンと言えば1988年殿堂入り品種のパパ・メイアン(1963年)を必ず頭に思い浮かべるでしょう。「黒バラ」の銘花でありビロードのような光沢感のある赤が美しい品種です。きっと皆さんはこんな赤をイメージされるのではないでしょうか?....
しかしサラバンドの赤は少し違います。絵の具で言えば下地にレモン.YとY.ディープを塗って、その上からバーミリオンヒューとチェリーレッドを重ねたような色....よりイメージしにくくなってしまったでしょうか。
日本には「真紅」という色がありますがどちらかと言えば「朱赤」といったイメージのお花です。サラバンドはフロリバンダ系の中輪半八重の花になります。
「フロリ」は「花」、「バンダ」は「束」、花はハイブリット・ティーよりやや小さめですが、枝が横張りになり房状に花をつけますから、ツルバラのように仕立てると大変ゴージャスになるのです。
我家のサラバンドはほぼ一重の小ぶりな花を咲かせ茎頂には2,3輪つけば良い方でしょうか....きっと私の施肥が少ないのだと思いますが初夏には可憐な花を秋には美しい実を毎年のように私に見せてくれます。
画と文:吉田桂子

5月のタイトル花

ハナミズキ

5月のタイトル花はハナミズキです。
一青窈さんの楽曲でも有名なこのハナミズキは
ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木。
北アメリカ原産。別名、アメリカヤマボウシ。

ハナミズキの名はミズキの仲間で花が目立つことに由来する。また、アメリカヤマボウシの名はアメリカ原産で日本の近縁種のヤマボウシに似ている事から。花期は4月下旬から5月上旬で白や薄いピンクの花をつける。秋につける果実は複合果で赤い。庭木のほか街路樹として利用される。
日本における植栽は、1912年に当時の東京市長であった尾崎行雄が
アメリカワシントンD.Cへ桜(ソメイヨシノ)を贈った際、1915年に
その返礼として贈られたのが始まり。ハナミズキは英語ではdogwoodと呼ばれる。dogwoodの語源には諸説あるが、一説には17世紀ごろに樹皮の煮汁が
犬の皮膚病治療に使用されたためと言われ、ほかには木製の串(英古語:dag,dog)を作る材料に使われる堅い木であったことからとも言われている。
ただし、犬の皮膚病治療に使ったとされるdogwoodは,同じミズキ科の植物
でもセイヨウサンシュユと考えられておりハナミズキとは異なる。
以上出典Wikipedia
画:吉田桂子

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