第40回ーハクサンシャジンを描くー彩色編
第40回ーハクサンシャジンを描くー彩色編
前回のハクサンシャジンを描くでは、デッサンまでの解説を致しました。
今回はその続編として、彩色の手順を解説致します。
彩色手順1
淡く鉛筆で陰影をついたデッサンの上に、セピアトーンで淡く彩色します。
今回は枯草や土などの茶系の物が多いので、セピアトーンで地塗りをしていますが、夏場の亜高山帯のグランドカバーを描く時は様々な緑色で彩色します。
彩色手順2
その後、少しずつ茶系から緑の色に移行して下草を塗り進めます。
彩色手順3
ある程度全体のイメージが頭の中に完成したら下草を描き込んでいきます。彩色は奥から下方にある対象物を描くのが基本ですので、その基本に従って彩色を進めます。
彩色手順4
いよいよ主役に彩色していきましょう。これもまた、前述の基本に従って下方から上方へと彩色を進めていくと良いでしょう。
彩色手順5
主役のハクサンシャジンの彩色を進めながら、このあたりで前景のトウゲブキの幼葉を描きます。くどいようですが、このように必ず「遠い所にあるもの」から彩色しましょう。一般絵画の世界では主題は先に描くこともよくあるので手前から描いても間違いではありません。
ただ、透明水彩絵の具の画材としての性質を考えると、手前から描いていくと、遠近を出すのが技術的に難しくなります。ですから特別な理由がない限り基本通りに描くようにしましょう。
彩色手順6
更に描写を深めていきましょう。全体的な色のバランスを見ながら描いていきます。こまめに作品から離れて遠くから作品をながめます。ボタニカルアートは細密に描くため、描きすぎて作品を壊してしまう可能性があります。
制作が終盤にさしかかったら必ず作品から離れて見ることが大切です。
彩色手順7
主役の花を仕上げます。丹念に植物学的な描き落としは無いか?など細部のチェックをもう一度行います。
完成
いよいとサインを入れて完成です。私の作品のサインの見方を説明します。
お気づきの方もいらしゃるかと思いますが、サインの下に書き入れている年、月は作品の完成年月です。ですから春の花なのに秋の月が書かれていることもあります。
そして、礼文島の作品は、いつどこで描いたかがハッキリしている事が多いので、画面の中に詳しくスケッチした場所や日時を書くようにしています。このようにすると、ああ、この年は夏が暑かったとか、秋が早く来たとか絵と共に思い出がよみがえってくるのです。