認知症に効果期待!アロマセラピーにみる植物の力とは
認知症に効果期待!アロマセラピーにみる植物の力とは
国の調査によると2025年には認知症患者は約700万人前後、65歳以上の高齢者に対する割合は、現状の7人に1人から約5人に1人の割合になると言われています。
中でもその6割から7割を占めると言われるのがアルツハイマー型認知症です。一般的にはアルツハイマー型認知症ではもの忘れの様な記憶障害から始まると考えられていますが、それよりも前に嗅覚機能の障害が現れることがわかってきました。
嗅覚は他の感覚器(視覚、聴覚など)とは違い、人間の本能的な情動反応を司る扁桃体や記憶を一時保存する海馬を含む大脳辺縁系に直接刺激を伝えます。
これは嗅覚は視覚や聴覚よりもいちはやく臭いの存在を認知することにより危険や快不快、好き嫌いなどを察知したり記憶をよみがえらせたりするなど、進化の過程の中でも早期に発達した原始的な感覚だからです。
そこで、認知症により低下した嗅覚を刺激、活性化することにより大脳辺縁系への感覚伝達を増強する方法としてアロマテラピーの活用が考えられました。
鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座 教授 浦上克哉氏 助教 河月稔氏
の実験報告によれば、昼にローズマリーカンファー(0.08ml)とレモン(0.04ml)をブレンドした精油を、夜に真正ラベンダー(0.08ml)とスイートオレンジ(0.04ml)をブレンドした精油を、ディフューザーを用いて約2時間づつ使用した結果、使用前と使用後では認知機能に変化があったことを確認したそうです。
昼間の精油は交感神経を刺激して脳機能を活性化し、夜間の精油は副交感神経を刺激して脳を休める働きにより一日の生活のリズムを整え、日中の活動量を高め、夜間の睡眠の質を高める事につながります。
睡眠が短い人や睡眠の質が悪い人ほど認知症の病因タンパク質のひとつであるアミロイドβタンパクの沈着量が増える事から、睡眠の質を向上させることで相乗的に認知機能の改善または悪化防止に効果があると考えられています。
植物の力=アロマの活用で自然に出来る脳機能活性法を毎日の暮らしに取り入れてみるのはいかがでしょうか。
ボタニカルアートサロン 編集部
公益社団法人 日本アロマ協会公認アロマテラピーアドバイザー 吉田 啓樹
図版 ケーラーの薬用植物図より
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→ケーラーの薬用植物