菊花を詠む
2015.11.11
カテゴリ:イーハトーブの植物園
菊花を詠む
宮澤賢治の俳句は少ないですが、中でも菊を詠んだ作品が数多くあります。
宮澤賢治イーハトーブ館の裏手にある「宮澤賢治句稿」碑にはそれらの作品が刻まれています。
菊を案じ星に見とるる霜夜かな
斑猫は二客の菊に眠りけり
秋田より菊の隠密はいり候
狼星をうかがふ菊の夜更かな
花はみな四方に贈りて菊日和
水霜をたもちて菊の重さかな
霜降らで屋形の菊も明けにけり
客去りて湯気立つ菊の根もとかな
魚燈して小菊の鉢を陳べけり
菊株の湯気を漂ふ羽虫かな
たそがれてなまめく菊のけはひかな
晩秋の黄昏時にどこからか漂う菊の香りを
「なまめく」と表現する賢治の感性に脱帽。
みなさんのお好みはどれでしょう。