農園ランドスケープ
農園ランドスケープ
宮澤賢治の詩・三原詩群は三篇の詩によって構成されています。
大島で農園学校を計画していた友人の伊藤七雄に招待された時の模様を歌ったいあわば紀行のようなものですが、中でも農園の装景を描写した第二部は農学者、芸術家としての賢治の側面がよく表れています。
そしてうしろがあのかゞやかなタキスの天と
せはしくふるふあの銀いろの微塵です
そこでこんどはこれらの木立の下草に
月光いろのローンをつくるといたしませう
すなはちあすこの松や椿や
羊歯の小暗いトンネルを
どてからこっちへはいって来ると
みづきと桜のあの緑廊になりませう
(中略)
つかれたその眼をめぐらせば
ふたゝびさやかなこの緑色を見るでせう
これだけでまだ不足なら
さっきのみづきと畑のへりの梓をすこうし伐りとって
こゝへ一っつ 六面体の
つたとあけびで覆はれた
茶亭をひとつ建てませう
梓はどの木も枝を残し
停車場などのあのYの字の柱にし
みづきの方は青い網にもこしらえませう
ツタ(蔦、学名:Parthenocissus tricuspidata)は、ブドウ科ツタ属のつる性の落葉性木本です。別名、アマヅラ、ナツヅタ、モミジヅタとも呼ばれます。
賢治が夢想した農園も色づく季節になりました。
秋が深まってゆきます。
宮澤賢治 詩・三原第二部
wikipedia~ツタ