ギンナンの実る頃
2015.10.01
カテゴリ:イーハトーブの植物園
ギンナンの実る頃
融銅はまだ眩(くら)めかず
白いハロウも燃えたたず
地平線ばかり明るくなつたり陰(かげ)つたり
はんぶん溶けたり澱んだり
しきりにさつきからゆれてゐる
おれは新らしくてパリパリの
銀杏(いてう)なみきをくぐつてゆく
その一本の水平なえだに
りつぱな硝子のわかものが
もうたいてい三角にかはつて
そらをすきとほしてぶらさがつてゐる
イチョウ(銀杏、公孫樹、鴨脚樹、学名:Ginkgo biloba)は、中国原産の裸子植物門イチョウ綱イチョウ目イチョウ科イチョウ属に属する、裸子植物です。街路樹などで良く見かける、おなじみの樹木です。果実はギンナンの名で食用となりますが、その独特の臭気もまたおなじみの匂いです。賢治は実ったイチョウの果実を「硝子のわかもの」とたとえ、果肉を落として、二から五の稜を持った内種皮が透けている様を「もうたいてい三角にかはつてそらをすきとほしてぶらさがつてゐる 」としているのでしょうか。そんなギンナンが色づく季節がやってきました。
宮澤賢治 詩・真空溶媒
写真:wikipedia~イチョウ