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カラタチの香る

カラタチの香る

カラタチの実

カラタチ(枳殻、枸橘)はミカン科カラタチ属の落葉低木です。学名はPoncirus trifoliata。原産地は長江上流域で、日本には8世紀頃には渡来したと言われています。カラタチの名は唐橘(からたちばな)が詰まったものです。樹高は2-4メートル程で、枝には稜角があり、3センチにもなる鋭い刺が互生することから、外敵の侵入を防ぐ目的で生垣によく使われました。しかし住宅事情の変化などからこの刺が嫌われ、また生垣そのものが手入れの面倒からブロック塀などに置き換えられたため、1960年代ころからカラタチの生垣は減少しました。

カラタチは数々の歌や歌曲の題材になってきました。
北原白秋の作詞、山田耕筰作曲の「からたちの花」島倉千代子さんの歌で有名な「からたち日記」などありますが、宮澤賢治の歌稿B「大正八年八月 715a」にこうあります。

雲焼けの
からたち坂を
ほこらかに
油瓶もて
おりくる児あり

夕焼けに染まる空の下、お使いに行くのでしょうか、帰ってきたのでしょうか、油瓶を抱え、家のお手伝いを果たし、誇らしげに、からたちが植えられた坂を子供が降りてきます。春、葉が出る前に白色の小花をつけるタチバナは、秋になると実をつけ黄熟します。八月に作られたこの歌は、春の頃を詠んだのでしょうか?それとも夕焼けが映える秋の頃を詠んだのでしょうか?私には、からたちが香りそうな情景が浮かびます。

宮澤賢治 歌稿B 大正八年八月

写真と出典:wikipedia~カラタチ

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