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装景~ランドスケープ・アーキテクト

装景~ランドスケープ・アーキテクト

ヨウシュヤマゴボウ

宮澤賢治は造園家としての顔も持っています。花巻温泉を舞台にした一大リゾート施設の建設に、理想郷「イーハトーブ」を造り上げる夢を重ね合わせた賢治は花巻温泉リゾートの建設に積極的に参加するようになります。昭和2年、「台公園」の東側に日時計を備えた「南斜花壇」を作り、最も愛したバラ「グルス・アン・テブリッツ(日光)」を植えました。

詩「装景手帳」はその南斜花壇の構想を記した作品です。
(前略)
ならや栗の Wood land に点在する
ひなびた朱いろの山つゝぢを燃してやるために
そのいちいちの株に
hale glow と white hot の azalia を副へてやらねばならぬ
若しさうでなかったら
紫黒色の山牛蒡の葉を添へて
怪しい幻暈模様をつくれ
止むなくばすべてこれを截りとる
Gillochindox. Gillochindae!

賢治は山つつじの朱を好まなかったのでしょうか、もっと美しく見せるためには真赤な、または純白のアザレアをその株元に補ってやらなければならない。もしそうでなければ、紫黒色のやまごぼうを植えて、怪しげにも幻想的な光景にしなさい、それが出来なければ、すべての山つつじは截りとりなさいとまで言っています。文中に出てくる「紫黒色の山牛蒡」はヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡、学名: Phytolacca americana)は、ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草。別名、アメリカヤマゴボウのことでしょうか、今ではどこにでも見られる雑草ですが、当時は珍しい植物として観賞されていたのでしょうか?緑と紫色の毒々しいとも思えるコントラストが、賢治の言う「怪しい幻暈模様」なのかもしれません。

画像の説明

現在の花巻温泉バラ園は、荒れていた南斜花壇を昭和31年になってバラ園として甦らせたものです。賢治が作ったままに日時計が再興され、そして賢治が愛したバラ「グルス・アン・テブリッツ」が、ミスターローズこと鈴木省三氏の手によって再び園内を彩りました。

写真は現在の南斜花壇日時計。

宮澤賢治 詩・装景手帳
wikipedia~ヨウシュヤマゴボウ

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