ザクロと二百十日
ザクロと二百十日
九月一日
「どっどどどどうどどどうどどどう、
ああまいざくろも吹き飛ばせ、
すっぱいざくろも吹き飛ばせ、
どっどどどどうどどどうどどどう」
宮澤賢治の短編小説、「風野又三郎」の冒頭はこの一節で始まります。
ご存知のように九月一日は、立春を起算日として210日目(立春の209日後の日)で、日付のうえではおよそ九月一日頃になりますが、この頃は、台風の多い日もしくは風の強い日といわれています。
「風の又三郎」の原型の一つになったこの「風野又三郎」は、九月一日に谷川の岸の小さな小学校へ突然現れた風の精と子供たちの十日間にわたる交流を描いた作品です。
ザクロ(石榴、柘榴、若榴、学名:Punica granatum)は、ミソハギ科ザクロ属の1種の落葉小高木で初夏に鮮紅色の花をつけ、秋になると実が熟し、不規則に割れ、ルビーのような赤く透明な果肉(仮種皮)をまとった粒が無数に現れます。この果肉は、賢治の文章にあるように、甘酸っぱく美味なことから古くから食用とされ栽培されてきました。
そんな、ザクロの実も、緑から紅く色づいてきました。
暑かった夏も去り、秋の長雨や台風の季節が近いづいていることを感じながら
「ドッドド、ドドウド、ドドウド、ドドウ、
ああまいざくろもふき飛ばせ、
すっぱいざくろも吹き飛ばせ、
ドッドド、ドドウド、ドドウド、ドドウ、
ドッドド、ドドウド、ドドウド、ドドウ。」
又三郎の歌が心地よく響きます。