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日本植物誌~ヤブウツギ

日本植物誌~ヤブウツギ

ヤブウツギ

ヤブウツギはスイカズラ科の落葉低木です。東海、近畿地方、および四国に分布します。シーボルトは覚書で日本の植物学者たちはヤブウツギとツクシヤブウツギをはっきり区別しているが、これはきわめて近縁な植物であると書いています。ヤブウツギはシーボルトとツッカリーニによって、日本植物誌で新種として命名されました。ヤブウツギは茎や葉に開出する毛が多く、花は濃赤紫色で毛を密生し、子房は下位、果実にも毛が多いことによって、近縁種と区別されます。一方ツクシヤブウツギは九州の山地に自生し、全体に伏毛が多く、花色が白色から濃赤色に変化します。シーボルトの覚書によると「この種は高地の谷間に生え、高さ6~8フィートになる。その姿かたちはヨーロッパのミズキ属の種を思わせる。これが庭での観賞用に貴重であるのは、5月の開花期を通じ、時とともに花色をさまざまに変化させるからで、その変化の度合いは我々が記載したハコネウツギよりも一層顕著である。寺院を含む庭でしばしば栽培され、我々は都から江戸に向かう道中、この種を用いた生垣をみかけたが、それは特段美しい効果をあげていた。(後略)」とあります。がツクシヤブウツギは九州に自生することを考えれば、九州以外でシーボルトが目にしたというツクシヤブウツギはニシキウツギなど他のタニウツギ属の種であった可能性がありますが、もしかしたら挿し木や取り木で容易に増やすことが出来るので、意外に当時はすでに観賞用として広まっていたのかもしれません。

植物画:ヤブウツギ ツクシヤブウツギ 京都電子図書館

参考資料:シーボルト 日本植物誌 大場秀章監修・解説
wikimedia commons~ヤブウツギ

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