ボタニカルアートを描く人のための専門情報サイト

2023年タイトル花

2023年タイトル花

12月のタイトル花
エピデンドラム リジダム

エピデンドラム リジダム

古いポジを見直していたら学名の表記ミスを発見!!
今となっては手もとに来た時からこの名札だったのか?
私の記載ミスなのかわかりません。しかしいずれにしても原画に学名を書く時の慎重さが足りていなかった様です。植物画家としてお恥ずかしい限りです。で......訂正致します。rigidumです。

さて気を取り直してランのお話です。
エピデンドラム属はラン科の中で私の大好きな属のひとつです。
このランは当時お教室にいらしたラン愛好家の生徒さんから頂いたものです。一般的な花屋で売られているエピデンドラムの様なピンクやオレンジの華やかな色はしていませんが肉厚で小ぶりな黄緑色の花はとても愛しい姿をしています。エピデンドラムは小花柄がよじれないので唇弁が上向きに咲くのですが、この花はすこし横を向き一列に並んで咲きます。古いランの作品を見るにつけ「あ~また珍しいランを描きたいな~」と思う今日この頃です。

画 エピデンドラム リジダム 吉田 桂子
文 吉田桂子

11月のタイトル花
シンフォリカルポス

もう11月半過ぎ......秋になったのか?ならなかったのか?
冬がくるのか......これからの季節は何だっけ?
身体の中の季節がおかしくなってしまう日々が続いています。

シンフォリカルポス......確か和名はセッコウボクです。
きっと石膏のように白いビー玉くらいの実をたわわに実らせるからついた名前なのでしょう。クリスマスが近づくと花屋に並ぶチェッカーベリーに少し似ていますが、チェッカーベリーはツツジ科で、シンフォリカルポスはスイカズラ科になるようです。

インターネットで検索すると花よりも実の方が目立つので切り花として実が流通しているとの記載を見つけました。

しかし......私は逆で......よく街中で生垣としてシンフォリカルポスの花を見かけますが、実が付いているところを見たことがありません。
多くの場合花後に刈り込まれているからかもしれません。あんなにかわいい実が成ると知ったら植木職人の人たちも夏剪定をあきらめてくれるかも知れません。

画 シンフォリカルポス 吉田 桂子
文 吉田桂子

10月のタイトル花
カタセタム

まだ東京に住んでいた頃......カタセタムに凝っていました。
出窓に金属製のラックを入れて、冬場はラックの下に電気のヒーターを入れてあげるだけで元気にしていました。私が集めていた頃はまだまだ珍しいランで、ラン展などに行ってブラジルから来ているラン園で買う以外あまり手段がありませんでした。咲くか咲かないかわからない蘭を頒けて頂いて咲いてくれた時はなんとうれしかったことか......そんなカタセタム達は横浜へ引っ越してから全滅してしまいました。ほんとうにショックでした。

もうカタセタムは育てないと心に決めて数十年たちました。最近、お教室で描く方がいたりして珍しいカタセタムを見かけると心がとてもザワつきます。

カタセタムは蘭には珍しく雌雄異花です。たいてい見かけると花は雄花で近年まで同じ種の雄花と雌花を別種と思われていたほど異なる形の花を咲かせるそうです......ブラジルの農園でも沢山ある株の中でもやはり数株しか雌花は咲かないとのお話でした。「雌花が見たい......」そしてもっと珍しい「両性花が見たい」とザワつく私です。

画 カタセタム 吉田桂子
文 吉田桂子

9月のタイトル花
パフィオペディルム

これはずい分と古い作品です。サインからまだ佐藤門下生だった頃の作品と思われます。作品の中の1種、パフィオペディルム’ロビンフット’は晩夏から秋にかけて開花するランです。当時近所の園芸店に行き、購入した個体です。園芸店の話によると初心者向きのランとの事でしたが、水やりのペースが合わないのか、すぐに枯れてしまいました。その後何度もパフィオの栽培にチャレンジしましたが失敗を繰り返し、とうとうパフィオは我が家にお迎えしない事にしました。

現在タイトル花の為に古いポジフィルムを整理中ですが、ランの作品が思いのほか多いことに驚いています。以前はラン懇話会という会に所属して熱心に学んでおりましたが、なかなか勉強会に参加できなくなり退会してしまいました。とても素晴らしい会で時間が許すようになったらまた参加したいと思っています。

ランのポジフィルムに加え、まだまだご紹介していない作品のポジフィルムがたくさんあります。フィルムが劣化する前にデジタル化しなければと今回強く思いました。しばらくはデジタル化前の作品を中心にタイトル花を書いていく予定です。

そして最近はまた「ラン熱再開か!!」と思っています。近頃ランを描く方があまりに増えたのでなんとなく遠慮しておりましたが、やはり「ランの花が好き!!」「単子葉類が好き!!」なのだと強く思っています。その気持ち大切に、好きなランに出合えたらまた描き始めたいと思います。

画 パフィオペディルム 吉田桂子
文 吉田桂子

8月のタイトル花
マリエ

7月に続きラン、マリエの作品です。
前回にもお話した経緯の作品で、これは3枚目に描いた作品です。

記憶が定かではありませんが、2作品目と同じ株を描いたと思います。
株が少し大きくなり、同時に新芽の表現を盛り込む事ができました。前作品ほど花柄は長くありませんが、硬くて細い花柄を下垂させ、先に大きな花を2輪咲かせています。入れたい要素がやっと全て入り、満足とまでは言えませんが、4枚目を描こうとは思わない程度に納得した作品になりました。

そして長い年月が過ぎて......最近......
お教室で生徒さんがマリエを描いていらしゃいました。
「マリエ......やはりいいな~」と思ってしまいました。
4枚目......描くかどうかは考え中です。

画 ラン マリエ 吉田桂子
文 吉田桂子

7月のタイトル花
マリエ

ラン マリエ

マリエはその名のとおり、まるでウエディングヴェールの様な白く美しい唇弁をぶら下げる様にして咲きます。

古くはエピデンドラムからエンシクリアへ属名が変わり、現在はプロステケア属と言われています。また、ユーチレ属であるなんて説もあるそうです。
私には理解不能です。

さて難しい分類の話は学者の方々におまかせするとして、私は画家としてのお話をしたいと思います。

このマリエの作品は2作目のです。実は私はいままでに3枚のマリエを描いています。同じ植物を描く事は少ないのですが、このマリエは大好きで3枚描きました。1作目の作品は画像が手元にありません。お向かいに住んでいた、バイオリニストのお姉さまがご結婚された時に差し上げてしまったからです。

そのマリエの花柄は上向きに2本伸びていて大きな花を数個づつぶら下げています。実は開花株を購入した時に花柄に支柱がつけてあり、それをはずしても花は直立していたのでそのまま描いてしまったのです。しかし、その後育てていくと下垂性の花である事が分かり、描き直さしたのがこの作品です。

画 ラン マリエ 吉田桂子
文 吉田桂子

6月のタイトル花
アロニア

アロニアには色々な呼び名があります。セイヨウカマツカ、チョークベリー、チョコレートベリーとも言います。アントシアニンやポリフェノールが豊富で目にとても良いそうです。しかし、生で食べると渋味や苦みがあるそうで、加工した方が美味しいそうです。

我が家のアロニアを食べた事はまだありません。なぜなら、この作品は鉢植えのアロニアを描いたもので、その後、庭の地植えにしましたが、まだ一度も実がなりません。

私の剪定が悪いのか...気候のせいなのか......と思っていたら今年地植えにして初めて実がなりました。6月に入ってたわわに実を付けた房が少し色づいてきています。今年はぜひ食べてみようと思っています。

ネットでジャムの作り方を検索してみると、冷凍と解凍を好みで2~4回繰り返すとありました。う~ん初めてだからどうしたら良いものか......そんな時
そうそう、植物画を描く時に基本と同じ考え方でいきましょう。平均!!平均です。なので今年はまず3回冷凍と解凍を繰り返してやることになりそうです。

画 アロニア 吉田桂子
文 吉田桂子

5月のタイトル花
サルメンエビネ

植物の和名の表記はカタカナでするのが基本です。
和名由来は諸説ある事が多いからです。
でも......サルメンエビネって......おそらく......どう考えても......
猿面海老根ですよね。

おそらく唇弁を猿の顔に見立てたのかなと思いますが。
私にはどう見ても猿の顔には見えません。
私には鉄兜をかぶった埴輪がドレスを着てダンスしている様に見えます。
両手を大きく広げて......

エビネの和名の意味は海老根つまり海老の節々の感じの根ということですが
......まさしく京野菜の海老芋にも似た全芋大の偽球茎が和名の由来です。

私にとっての植物の優位性をつける時、重要となる要素は「食べられるのか?」という事です。庭に植える植物を決める時もついついそれを考えてしまいます。

エビネについて少し調べてみると中国では血行を良くする生薬として知られていたり、なんと育毛剤にも使われているとか......
真偽のほどはわかりませんが、なんとも魅力的な植物です。

画 サルメンエビネ 吉田桂子
文 吉田桂子

4月のタイトル花
カリカンサス

この花に初めて出合ったのは池袋のボタニカルアート教室の折でした。
生徒さんが鉢植えで購入したとの事で、一枝花材としてお持ちになった時のことです。教室中の目がその花に注がれて、彼女の席の周りに人が集まり、質問ぜめになりました。

この植物は黒花ロウバイと夏ロウバイの種間交配で生まれたカリカンサスという新しい品種であること。アメリカで生まれた植物で、このワインレッドの品種は育種家の名前からとり、‘ハートレッジワイン‘という名前であること等々......そして話題は挿し木等で繁殖が可能か?ということに移ると、私を含むお教室中の人の目の色が変わりました。その人達の熱意は鉢植えのまだ小さな樹木を丸坊主にしかねない程のものでした。

後日、木を枯らさない程度に枝を切ってお教室にお持ち下さると、役得ということで、私は一番初めに好きな枝を一枝頂戴することができました。

そして数年経った今、我が家には大きなカリカンサスが庭の中心に生えています。あの時頂いた貴重な枝......挿し木でついたのは我が家にやってきた糸枝だけでした。

昨年の秋、沢山のシュートを大きく大きく伸ばしたので、初めて挿し木をしてみました。春になり、母木の開花を迎えた今、秋に挿した小枝にも小さな葉が出ています。ついたのかしら?成功の確認をしたら、今度は私の枝をお教室の皆さんにお分けしたいと思っています。

画 カリカンサス 吉田桂子
文 吉田桂子

3月のタイトル花

キクザキイチゲ

キクザキイチゲ

このキクザキイチゲは城山カタクリの里という、カタクリの群落地で描きました。里山の斜面にカタクリをはじめ、色とりどりの花が植えられており、その中にこのキクザキイチゲも咲いていました。

はじめはカタクリと共に一画面の中に描くつもりでしたが、あまりに可愛いのでこれだけで作品に仕上げることにして、花の前に座りました。一心不乱にキクザキイチゲを描いていると「ブ~ン」と蜂がやってきて花の中にとまりました。まるで「描いてくれる?」と言っているかのようでした。花を描く手を止めて、あわてて蜂をスケッチしました。

そしてこの作品が完成しました......
今年も花の季節がやってきました。ネットで見ると3/11日(土)から4/16日(日)まで今年も城山カタクリの里は開園しているようです。

画 キクザキイチゲ 吉田桂子
文 吉田桂子

2014.3.30 ブログ 城山カタクリの里

2月のタイトル花

シンビジュウム「アイスキャスケード」

シンビジュウム’アイスキャスケード’

アイスキャスケード......直訳すると’氷の滝’でしょうか......
日本には氷瀑という荘厳な言葉がありしたね。このシンビジュウム’アイスキャスケード’は白く可愛らしい花を穂状に垂らして咲かせます。その姿は正しく小さいな氷瀑です。

この作品は株全体を描いたため、大きめの作品で、画面サイズはB2近くあったと思います。今はセレブのお宅にお嫁に行ってしまい、私の手元にはありませんが、私のお気に入りの作品のひとつです。

画 「シンビジュウム’アイスキャスケード’」吉田桂子
文 吉田桂子

1月のタイトル花

カトレア

カトレア

ボタニカルアート作家として歩きはじめたばかりの頃は、蘭の花ばかり描いていました。子供の頃からお向かいのお宅に大きな蘭の温室があり、蘭の季節になるとよくラン展に行ったものでした。当時はまだ大きなラン展とかはなくて、地元の百貨店で行われる蘭友会や蘭農場の展示であったように記憶しています。ですから、当時としては珍しい蘭の花達も私にとっては大変身近なものでした。ですから、ボタニカルアート作家として歩き始めた頃、蘭を描き始めたことはある意味自然なことであり、必然でもあったようです。
主をなくした温室は、今ではもう駐車場に変わってしまったけれど、蘭温室、しだれ梅、グランドピアノ、黒猫......これは私の思いでのスイッチなのです。蘭温室以外のお話はまたの機会にお話ししましょう。

画 「カトレア」吉田桂子
文 吉田桂子

powered by HAIK 7.3.7
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. HAIK

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional