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第9回ーハナミズキを描く

第9回ーハナミズキを描く

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「青い目をしたお人形」という歌がありますが、桜の返礼とした日本へ渡ってきたハナミズキは、まさしく植物界の「青い目をしたお人形」なのかもしれません。秋の美しい紅葉をテーマに、透明水彩の特徴である重ねの美しさを学びましょう。

身近にある美しい樹木

最近の街路樹は、昔に比べ華やかになった様に思います。カリン、トチ、キリ、コブシ等々....春から冬まで人々の目を楽しませてくれます。そんな中でもハナミズキは、春に大きく美しい苞を広げ、秋から冬にかけては、紅葉と赤い実で、色の少ない風景に華やぎを添えてくれる植物です。この一年のすべてを画面に盛り込むにはどうしたら良いのでしょうか。まず、要素を整理して考えてみましょう。

植物画の5W1H

英語の様に明確に六つの要素がある訳ではありませんが、似た考え方で構図を決めてみましょう。
「When」:描く時期を考えます。花と実を同一画面に描く時は、それぞれの枝を少し離して、異なる時期の物を描いたことがはっきり分かるようにします。どちらを前に描くかは以下の三つの場合が考えられます。
「Where」:発表の場を考えます。今回の掲載作品は、秋の展覧会で発表しましたので、実を前に描いています。
「What」:何を主題にするか考えます。この場合は、作者が何に感動し、何を表現したいかにより構図を決めます。
「How」:どのように描くか考えます。花が白っぽく陰影の表現が難しい場合は、花を手前に描き、浮き立たせて表現します。

ただ漠然と描かずに、意志を持って作品作りにとりかかることが大切です。

本物の花はどこに?

構図が決まったらいよいよデッサンです。葉が対生しているため、枝の分岐も左右に広がりながら出ています。花弁の様に見える部分は苞で、中に見えるしべのような物一本一本が四裂の花です。全て咲いている状態で描く事は不可能に近いので、いくつかは咲いているように描きます。その他の部分の描き方は、基本に忠実に、そして丁寧に描きましょう。

絵の具の長所と短所

ボタニカルアートを描くほとんどの方は透明水彩絵の具で彩色していることと思いますが、画材の特性を知り、生かすことが、良い表現を引き出すことだと考えて下さい。特に彩度の高い色、明度が低いが鮮やかな色を混色で出そうとすると濁った色になってしまいます。美しく描くためには下地に彩度の高い色を塗り、重ね塗りによる混色をすることが、下地の色に影響を受ける透明水彩の長所を引き出すポイントになります。

画面での実験は絶対禁物

では、具体的な方法論を紅葉の葉を例に考えてみましょう。
重ねで色を表現する時は、必ず何度も試し塗りをしましょう。図1のように思わぬ(色同士の)組み合わせで色が表現出来たりしますので、画面上で試し塗りをしないようにしましょう。図2のような緑と赤の混色もパレットで混ぜるとただの濁った色ですが、重ね塗りをすると深みのある色になります(作品A)。
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重ねの順番は紅葉と同じ

これだけたくさんの種類の色を重ねるわけですが、重ねる順番は植物の紅葉の変化と同じ順で彩色すると良いようです。ですからこの場合は緑、黄、オレンジ、ピンク、赤、紫の順になります。葉の表現に限らず、他の部分でも植物の色素がどうなっているのかという事を考えながら、彩色手順を決めていくと、鮮やかな中にも深みのある自然な仕上がりになります。(作品B)

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最後に

今回は色の重ねのお話をしましたが、これは色の仕組み「色彩論」に基づくお話です。色の三原則(彩度、明度、色相)と補色についてやその他に色の混色(減算混合、加算混合、中間混合)方法については、知識として関心のある方は調べてみて下さい。

特別講義ー「ボタニカル・アーティストのための色彩学」を併せて参照下さい。

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