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第34回ーキバナカタクリを描く

第34回ーキバナカタクリを描く

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キバナカタクリを構図を変更しながら描く

よく「作品をどれくらいの時間をかけて描きますか?」と質問されます。
しかしいつも「正確な時間はわかりません」とお答えしています。

私の場合は常に50枚以上の途中の作品があります。
スケッチだけのもの、デッサンまで終わっているもの等、その段階は様々です。植物が元気なうちに、そして次々と咲く花を追いかけているので結果こうなってしまいます。しかし意外と初めにしっかりと観察をしておくと翌年にまた違う個体で描くことができます。

どうしても...の場合は仕方ないですが、基本的には写真を使わずに現物を確認しながら何年かかっても描く努力をしています。

今回はウェブ講座で特別に時間をかけて描く時に起こるアクシデントの対処法も含めてキバナカタクリとスノードロップの描き方をご紹介します。

デッサンと彩色

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これは数年前に描いたデッサンです。作品として完成させるべくカルトンからひっぱりだしました。

いつもどおり葉などの緑色の部分を淡く彩色して作品が完成した時のイメージをふくらませてます。

う~ん...構図が気に入りません。

原因はキバナカタクリの姿のせいです。
地際に大きな葉があるわりに上方に咲く花が小さく、更に葉も少しあばれているので左右にあまり美しくない空間が出来てしまっています。

構図の変更とさらなる彩色

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そこで構図を変更することにしました。
季節としてはギリギリ重なるスノードロップを描き加える事にしました。
前後の空間が出るように配置して、構図に奥行きをもたせます。
本来でしたら、キバナカタクリと完全に季節が重なる他の植物でも良かったのですが、あくまでも主役のキバナカタクリが生きるように白い花のスノードロップを選びました。

スノードロップが加わり構図が安定したので、彩色の作業に戻ります。
少しずつ絵の具を塗り重ねてゆきます。スノードロップの白さはなるべく色を彩色せずに、紙の白を残します。

そしてカタクリを更に塗り進めようとしたところ、新たな問題が発覚しました。

それは

俗に言う「紙が風邪をひいてしまった」のです。

ここで「風邪をひくとはどういった状態をいうのかご説明しましょう。

  1. 絵の具がすぐに染み込んでしまい、ぼかしが出来ない。
  2. 無色の水で塗っても紙にグレーの点々が出現して、いつまでも消えない。
  3. きちんと鉛筆線にそって彩色しても絵の具がはみ出してにじんでいく

など、こんな現象がおきたときは「紙が風邪をひいて」います。
原因はいろいろありますが、基本的には様々な事象で紙が劣化する事によって起こるようです。

さてさて話を作画作業に戻して、対処法をご紹介しましょう。

まず、紙が風邪をひいてしまって彩色がしにくい部分に中性サイズ液を原液で塗ります。原液で塗ると乾いたあと塗った部分が縮みますので通常は少し周りを水でぼかしてなじむ様にします。

「サイズ」とはインクのにじみを防ぐために紙の表面に塗布したり、原材料に加える物質のことです。

さて、これでいけるか!と思ったところが、またまた問題発生!
余白に風邪ひきによる水染みが出てしまっていました....
余白の端のほうだったので、「額に入ってしまえば隠れて見えないか」と思い直して描き始めましたがどうしても目の端にひっかかる水染みが気になって仕方ありません。

どうするか?...

更に構図の変更そして完成へ

「え~い!もう1本足してしまえ!」
思い切って一番奥にキバナカタクリの蕾を足すことにしました。
何故かといいますと、もともとスノードロップとの開花期がぎりぎり重なる事も気になっていました。ですから蕾を足す事は、少しでも開花期が自然に見えるよう調整の意味にもなるからです。

そして苦労して作品の完成をむかえる事が出来ました。
これまでの作業を見て「そもそも時間をかけずに描けば良いのでは?」
と原点に戻って考えた方もおられるかもしれません。

しかし...

花は作業を待ってくれません。
でも、状態が悪くなってしまった花をいつまでも眺めていても良い絵は描けません。ましてや写真を見て描いた作品では人の心は動きません。

「花を追いつづけて...」

それがボタニカルアートの醍醐味です。

城山カタクリの里でカタクリを描く

私が住んでいる神奈川県には城山カタクリの里というカタクリを観察するには絶好の場所があります。下の絵はその城山カタクリの里で描いた作品です。城山カタクリの里では今、カタクリだけではなく、ユキワリソウ、キバナセツブンソウなど様々な花が見頃を迎えています。お近くにお住まいの方はぜひお出かけ下さい。

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城山カタクリの里の開花情報はこちらのリンク
城山カタクリの里

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