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第31回ーヒペリカムを描く

第31回ーヒペリカムを描く

ある日、庭の草むしりをしていると見馴れない植物が出ていました。
しなりながら斜上した枝先に意外に大きいきれいな花をつけた植物は、ヒペリカムの一種でした。黄色い花はとても豪華で、なんだか得をした気持ちになりました。

画像の説明

ヒペリカム ジュエリーシリーズ「ルビー」
Hypericum Ruby

表情豊かな花

上の絵のヒペリカムは、自由が丘の花屋でポット苗で売られていたものです。花は小ぶりですが、可憐な花と同時期に次々と実をつけます。長い間いろいろな表情を楽しむことができ、ボタニカルアートにするにはもってこいの品種です。しかし、苗はなかなか入手しにくいと思いますので、今回はフラワーアレンジ用に売られている実の描き方を説明します。

デッサンはできるだけ細かく

デッサンをする上で重要なポイントは2つです。
1つ目は、形の変化をしっかり描くことです。色に惑わされることなく立体感と空間の表現をしっかりして下さい。
2つ目は、細かすぎるほど葉脈描くことです。仮に光があたって見えにくい感じがしても、デッサンの段階では細かすぎるくらいに描いておきます。

図1

鉛筆デッサン

鉛筆デッサン

光による変化や前述の色による変化は、彩色で表現します。

葉の彩色の仕方

①ー葉脈の色で、平塗り、もしくはぼかし塗りをします(図2)。

図2

平塗を含む下塗り

平塗を含む下塗り

②ー葉本体の濃い緑色をパレットで作ります。

③ー②で作った色を、光で明るく見えるところの色の濃度になるまで水で薄めます。

④ー③の色で主脈を残して、全体的な陰影を数回重ねます(図3)。

図3

大きな影を意識した本塗り

大きな影を意識した本塗り

⑤ー全体的な陰影がついたら少し絵の具の濃度を上げて、一次側脈、二次側脈と、より細かい葉脈も残していきます(図4)。

図4

細かい部分の描きおこし

細かい部分の描きおこし

実の彩色の仕方

①ー実の下側にあるがく(とりわけ白い部分)の影をつけます(図2)。
②ー実の下部の、緑がかったベージュ色の影を彩色します(図3)。
③ー実の上部の赤みを、下に向かってぼかし塗りをします。この際に、光っているところを塗りつぶさないように注意しましょう(図4)。
④ーがくの外側の緑の濃い部分を彩色します。葉脈は塗り残して表現します。

茎の彩色の仕方とめしべの描き方

茎はまず、葉脈と同じ色で淡く平塗りし、その後平塗りの色に黒もしくは紫を入れて、丸みをつけます。茎に赤みのある品種はその後、赤みをつけます。この時、緑色が赤色を吸収しますので、少し彩度の高い赤を彩色するのがポイントです。実のてっぺんに枯れた糸状のものがついています。これはめしべです。濃い茶色を作り、ひと筆で描きます。失敗は出来ないので、一番最後に落ち着いて行いましょう(図5)。

図5

完成図

完成図

あとがき

今年は筆柿の花を描きました。3年ほど前に実のついた鉢植えを購入して、その年は実を描きましたが、それから3年花を咲かせませんでした。
一昨年、鉢を日当たりの良いテラスに移し、昨年は大きな鉢に植え替えてあげました。それが良かったのか、今年は十数個の雌花をつけ、無事に受粉したようです。ほとんどの柿の花は雌雄異花(しゆういか)ですが、筆柿の雌花は特に魅力的な形をしていました。花を描いていると、一匹のマルハナバチが一生懸命に受粉をしてくれていました。お礼に彼も描いてあげたいと思っています。

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