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第3回ーツバキを描く

第3回ーツバキを描く

エゾニシキ

冬のある日、一緒にいた知人が植込みに咲く花を見て一言、
「ワーッ綺麗なバラの花」。私は植込みに咲くその花、
ツバキを見て絶句。

しかし、ある本で昔ヨーロッパでは「ウインターローズ」
と呼ばれていたという事を知り、植物音痴の知人のセンスに感心してしまいました。しかし、実際のところツバキは開花期が長く、冬から春にかけて楽しめる花です。

花紙で作ったような可憐な花とは対照的なつややかな葉も魅力的です。今回は光沢のある葉の表現を中心に筆使いを考えてみましょう。

光は描かずに描く

ツバキの表現のポイントは、何と言っても花の中にある沢山の雄蕊と光沢のある葉でしょう。特に絵画において「光の表現」は永遠のテーマと言えます。紙に描く水彩画では、色を塗るということは(仮にそれが白であっても)、影へ向かう表現になってしまいます。つまり「光は描かずに描く」ということで、紙の白を塗り残すことによってしか表現できないのです。

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ツバキのデッサンのポイント

立体構造物説明図

まず、植物画で大切なのはどのような個体を描くかということです。なるべく平均的な個体を選ぶことが大切です。花屋で売っているものは立派過ぎたり、アレンジし易い形や長さになっていたりすることがありますので、できれば栽培家から分けて頂くか、自分で育てているものを描きましょう。頂く場合は、「種名」と「実が出来るか否か」を確認して、実がなるようでしたら、さりげなく実の付いた枝も頂く「約束」をしておきましょう。良い枝が入手できたら描きましょう。実をいれる予定のある方は、後で描き入れられるように、必ず大きめの用紙を用意して空間を空けておきましょう。

物体を立体構造として捉える

デッサンでは、いきなり細かく描いてはいけません。必ずアタリ線や中心線を描き、それぞれの長さや位置関係の比率、空間の形を見ておきます。あくまでも比率であって、実測ではありません。遠近法に則って描くので、実測の部分は草丈か主題の花一輪になります。葉であれば主脈を中心に描き、葉の一番幅が広い所に線を引き、大まかな形を描きます。花や枝の場合は回転体の集まりと考え、回転軸にあたる所が中心線になります。まずは右の図Aのように対象物を立体的な構造物として描いてから徐々に細部へデッサンを進めます。

筆の中のぼかしと、紙の上のぼかし

筆のぼかし

図Bのように、筆の中には自然とぼかしが出来ています。これを活かし、筆先は常に一番濃くしたい影の方を向くようにします。よく平たい葉を描いたつもりなのに凹凸のある葉に描けてしまったと耳にします。これは、筆先の向きが90度違うことによって生じる問題です(図C)。特に、平たい葉を彩色する場合は、図Dのように筆を中心まで下して使い、絵の具の水分をぼかしたい方向へ移動させて、水筆で吸い上げるような気持ちでぼかします。そして図Eのように、1から4の順にぼかしを重ねることで、なだらかで美しくなります。長い距離のぼかしを1回でしようとすると、かえって絵の具が剥がれてしまい、塗りむらや縁取りのような彩色になってしまいます。
画像の説明

手順で奥行きはうまれる

シロツバキ

今回は、葉の表現が中心のお話になってしまいましたが、その他の部分を描くときも必ず「デッサンは手前から奥へ」「彩色は奥から前へ」もしくは「暗い所から明るいところへ」という手順を守って描きましょう。奥行きの表現が苦手な方は、手前にある目立つ花や葉から塗りはじめていなでしょうか?この手順を守れば、自然と空間表現ができるようになります。

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葉の彩色の手順

彩色の手順を動画でご覧頂けます。




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