第25回ーパフィオペディルムを描く
第25回ーパフィオペディルムを描く
唇弁(リップ)が袋状になり、まるで食虫植物を思わせるような
不思議な形をしたラン、「パフィオペディルム」。
今回は花を、次回は葉と2回に渡って描き方を学びます。
デッサンは彩色を考えて
今回の連載は彩色についてが中心となりますが、まずは初めに少し鉛筆デッサンについても触れておきましょう。
デッサンは通常通り行いますが、パフィオペディルムの場合、複雑な模様が多いので、鉛筆での下書きが重要になります。
まず、葉の模様ですが、パフィオは斑入りの品種が割と一般的にありますので、デッサンの段階で丁寧に描いておきます。あまり濃く描いてしまうと仕上がりが美しくなりません。そして花の表現は葉とは逆でなるべく鉛筆で模様を描かないようにします。鉛筆線が彩色しても透けて見えてしまう色の模様の花が多いからです。しかし、いきなり筆で模様を描くのは難しい事ですので、自信のない方は極薄で鉛筆の下絵を入れておきます。最後にうぶ毛ですが、花の内側、外側、茎、根等にあるうぶ毛は、ともかくデッサンの段階ですべて描いておきましょう。
「参考作品ー1」
(左)paphiopedilum Robin Hood (右)paph.sp.
パフィオの葉は互生ですので、真正面から描くと平板な構図になりがちです。この作品のように2種類のパフィオを組み合わせると立体的な構図になります。
「参考作品ー2」
paph.sp.
この様に横広がりの大きな葉を描く場合、花を中心にすると両側の葉先が画面の外にはみだしてしまったりします。かと言って、大きな紙に全体を描くと、花の両側に大きく空間があいてしまったりします。そんな時はどちらか(できれば花の裏側の方)の葉先を画面の外に出してカットして、反対側の葉先はきちんと表現します。こうすると美的構図としても、植物学的にも描き落としの少ない構図になります。
まずは手順を決めてから
透明水彩絵の具の特性上、濃い絵の具の上に薄い絵の具を重ねても効果は出にくいので必ず初めに彩色の手順を決めてしまいます。
「参考作品ー3の場合」
花被の白い部分の影を黒で淡く彩色します。
黄、緑、赤、紫の順でそれぞれの場所を重ね塗りしておきます。うぶ毛をすべて塗り残して、最後に紫で描きます。
「参考作品ー4の場合」
うぶ毛、光沢の部分は紙の白を残しておきます。花被の白い部分の影を黒で彩色します。その後、黄、緑の順で色を重ねていきます。
「参考作品ー5の場合」
光沢は紙の白を残して表現します。花被の白い部分の立体感と影を黒でつけます。黄(レモンイエロー、イエローディープの順で)、緑、オレンジ茶、紫の順で色を重ねます。茶色の模様は「線を描いてはぼかし」をくり返しながら表現します。
「参考作品ー6の場合」
参考作品ー4と場合と同じ手順になります。