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植物画のためのカメラえらびと撮影術

植物画のためのカメラえらびと撮影術

カメラ

植物画を描く際に、資料として写真を撮ることがあるかと思います。ここではカメラ選びとその撮影方法についてお話させて頂きます。

カメラと聞くと何か難しい知識が必要かと思われるかもしれませんが、それは写真作品を撮影する場合の話であってあくまでも資料としての写真ですから、難しい事はありません。ではまず、植物画の資料としてはどのような写真が必要なのか吉田先生に伺ってみましょう。

植物画における資料写真とは

編集部:まず最初に、お聞きしたいのは、先生は植物画を描くにあたって写真を使われる事に否定的(笑)だと伺いましたがそれはどういうことでしょうか?

吉田先生:いえ、そんなことはありません(笑)実際私も資料写真は撮りますから。ただし,あくまでも保険として撮る感覚で、旅先でのスケッチや仕事で描く時以外はほとんど写真を撮っても使用しません。やはり実物で描くのが一番うまく描けますから。

編集部:なるほど、写真にたより過ぎてしまって、観察がおろそかになってしまうという事ですね?

吉田先生:いえ、むしろ逆で観察がおろそかな方ほど写真に頼ろうとするようですが、実際は観察がおろそかなのに写真を撮っても必要なところが写っていないという事になります。

編集部:そうですね、それぞれの植物学的分類ポイントを知っていないとどこの部分を資料として写真に残せば良いのか判断できませんものね。

吉田先生:ええ、そうなんです。なので決して作画過程において写真を使うことを否定しているわけではないんです(笑)

編集部:よかった~、ちょっとほっとしました。今回のこの企画を怒られてしまうのではないかとちょっと不安でした(笑)

吉田先生:そんな、怒るなんて、人聞きの悪い。私はやさしい人間ですから(笑)冗談はともかく、確かに写真の発明は絵画において、その作画手法を大きく変えました。印象派の画家たちは積極的に写真を用いていたのは周知の事実ですから。しかしそれはあくまでのアカデミックな教育を受けた人や、ある一定の技術を身につけた人たちの話です。

編集部: なるほど、そういう意味ではその対極として、例えば日本画の大家でいらっしゃる東山魁夷先生は唐招提寺の襖絵を描くにあたって、それこそ何十枚もスケッチを描きに荒波砕ける岸壁に足を運んでいらっしゃる。スケッチは作画の構想を自分自身で確認していく作業として必要な過程だとすると、写真は過程といえるものではなく、道具にすぎないですからね。

吉田先生:そうですね、日本画に限らず、一般的な絵画作品は対象をただ写実的に描くのではなく、むしろ本物より本物らしくであったり、自分の感動を伝えるために、誇張(デフォルメ)したり様式化したりするためのスケッチですが、植物画においては、むしろ逆でデフォルメや様式化を排除するなかで、自分の感動を伝えなくてはなりません。そこがファインアートとも違い、写真で描くのとも違うボタニカル・アートの一番難しいところだと思っています。植物の肖像画ですから。

それと、写真で一番注意しなけならないのは「写真は実物の大きさがわかりずらい」という事です。よくカタログの写真等でタバコがいっしょに写っていたりしますよね?あれです。ですから植物体を「原寸で描く」ボタニカル・アートの場合はやはりスケッチやデッサンでしっかり大きさを把握しておかないと写真は役に立ちません。撮影時に定規をあてるなど工夫をされると良いでしょう。

まとめ:植物画における資料写真のおさえるべきポイント

1)植物学的分類ポイントがあいまいにならないようにするために基本的には図鑑でポイントを確認してから撮ります。図鑑で調べられない時は、部位名が変わるポイントを撮ります。この時は描く植物体以外の個体も撮影しておきます。

2)育成環境がある程度わかるように対象の周囲も撮影しておきます。

3)デッサンが終了したら構図に合わせてまた撮影します。
構図全体、葉や花など一つ一つの部分写真などを撮ります。

撮影に必要なカメラの機能とは

1)細部を拡大して撮影出来る事。マクロ機能=接写機能がある事。
できれば1cmまで接近できれば望ましいでしょう。

2)対象の周囲を広く撮影出来る事。
35mmから50mm程度の画角は最低限必要です。

3)持ち運びに優れていること。
山野に出かける場合は、荷物も増え、長時間野外で活動するので
軽量かつコンパクトが望ましいでしょう。

4)オートフォーカス機能だけでなくマニュアルフォーカス機能があると
生い茂った状態の植物を撮る場合、オートフォーカスよりも自分の撮りたい
部分に素早く迷うことなくピントを合わせる事ができますのであると便利な機能です。

デジカメの種類

1)一眼レフ デジカメ
もともとは焦点調整用と撮影用とを一つのレンズで兼ねるレフレックス・カメ ラのことでレンズから入ってくる光を「鏡で反射」(=レフレックス)してピン トグラスに像を結ばせ、それを見てピントを合わせる方式のカメラ。レンズの数により一眼レフと二眼レフがある。一眼デジタルカメラはフィルム面をイメージセンサーに置き換えたもの。イメージセンサーとは光の明暗を電気信号に変換する半導体素子の総称。

利点
a)大きなイメージゼンサーによる高画質・高感度
b)撮影シーンに応じてレンズ交換が可能
c)高速なオートフォーカス
d)マニュアル撮影

欠点
a)重くて大きい
b)機材が高い
c)初級機から中級、上級機までの差が大きい

2)ミラーレス一眼 デジカメ
一眼レフカメラのレフレックスミラーを取り除き、イメージセンサーで捉えた画像を電子ファインダーに直接表示する方式のカメラ。ミラーが無い分小型軽量化を実現した。

利点
a)一眼レフカメラと同程度の高画質・高感度が望める
b)一眼レフに比べて軽量かつコンパクト
c)撮影シーンに応じてレンズ交換が可能。アダプタを装着することにより
一眼レフのレンズ資産を活用できる可能性がある。
d)機種によってはマニュアル撮影にも対応

欠点
a)一眼レフと比較すればボディーの厚みは薄く軽量ではあるがレンズの口径が一眼レフと変わらないので、大きいといえば大きい。
b)オートフォーカスが遅い。
c)オート撮影が基本設計のため、マニュアル撮影はやりにくい場合がある
d)ファインダーがないので晴れた日などは液晶画面が見づらい。

3)コンパクト デジカメ
レンズ交換が不可能で、イメージセンサーが1インチ以下のもので
小型化に重点を置いた一般向けの機種。最近では1/1.8以上のイメージセンサーを持ちマニュアル操作に重点をおいた高級機種もある。

利点
a)軽量コンパクトなので機動性に優れる。
b)一眼に比べて、値段が安い。
c)使い方が簡単。
d)接写、広角から望遠まで撮影シーンに対応
(機種により接写距離やズーム倍率が異なるので確認の必要あり)。

欠点
a)イメージ・センサーが小さいため、プリントアウトの際は大きく引き伸ばせない。
b)オートフォーカスが遅い
c)バッテリーの持ちが悪い
d)一般機種ではマニュアル撮影が出来ない
e)ファインダーがないので晴れた日などは液晶画面が見づらい。

以上見てきたように、どの方式の機種も一長一短ありますが
欠点をカバーする方法もあります。
例えば、コンパクトデジカメの場合ですが、プリントアウトの際大きいサイズ
に引き延ばせないとは言ってもA4サイズ程度までは十分引き延ばせますので
資料写真として使う場合においては問題ありませんし、パソコンやタブレットの画面で見ればプリントアウトする必要がありません。また、オートフォーカスが遅いとはいえ、スポーツ写真を撮るわけではありませんし、現在の製品はそれらの場面を撮る事に差し支えない程度には出来ています。

完璧さを機能に求めるよりも使い方を工夫する事によって目的を達成される方がより現実的と言えますので、実際に売り場で製品を手にとって好みや予算に合わせて購入を検討されるのがよろしいでしょう。

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