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南米の不思議な果実~西川農園訪問記

南米の不思議な果実~西川農園訪問記

画像の説明

以前、静岡在住のボタニカル・アーティストである、永野さんの珍しい果実の絵を拝見しました。その実は直径がちょうど500円玉ほどの大きさで、幹からすぐについている様に見え、巨峰のように黒い色をしています。大量になったその実はホクロのようにも見え、見方によってはちょっと異様に映るかもしれません。

でも私にとっては、心を揺り動かされるくらい魅力的な植物に見えました。
そしていつかは描いてみたいと、永野さんともお話しをしていました。

その後、1年以上たったある日、永野さんからうれしい提案を頂きました。
それは、静岡で特別講義をして、その後ジャボチカバを描きにいらっしゃいませんか?というお誘いでした。ちょうど4月頃に絵を描きに遠出をしたいと思っていた私にとって、まさしく渡りに船とばかりに静岡へ出かける事に致しました。

西川農園さんのこと

西川農園

西川農園さんは静岡ICをおり、安倍川を越えた駿河区西部の国道1号線沿いにあります。小さな茶畑が斜面に広がる小山を背景にして建つハウスでジャボチカバは栽培されています。ハウスの手前に広がるのもやはり茶畑。さすが茶所静岡県といった感じですが、ここの茶畑は西川農園さんの持ち物ではないそうです。西川農園さんは別の場所に茶畑をお持ちで、やぶきた茶を栽培なさっています。

やぶきた茶の他、西川農園さんでは温州みかんも栽培されていらっしゃいます。
農園のご主人、西川さんのお話によると、お茶やみかんの他に何か栽培できるフルーツはないか、いろいろと調べていてようやくジャボチカバに出会ったそうです。果樹ハウスの中では、ジャボチカバの摘み取り体験の他、ハウスの入り口に停めらたワーゲンバス「走る飲食店ジャボチカバ号」で準備された、サンドイッチとスープのセットの軽食メニューやジャボチカバのジャム、パウンドケーキ、シホンケーキ、タルト、アイスなど数々のスイーツが楽しめます。

私がおじゃましたときは日曜日で天気もよかったせいか、たくさんの方々で賑わっていました。県内の方、練馬ナンバーの方、御年輩の方から御家族連れ、若いカップル、なかでもブラジルの方が何組かいらしていて、故郷を代表する果実を懐かしそうに眺めていらっしゃいました。静岡県は、ちょっと古い資料ですが、2011年の統計によると、日本国内にお住いのブラジル人の方々の数が1番だそうです。私たち日本人が異国の地でサクランボの摘み取り体験が出来るなんていう農園があったら、ついつい出かけてしまうでしょう。もしかしたら、西川さんは、その辺りの事情を知ったうえでジャボチカバをお選びになったのかもしれません。

写真上は走る飲食店ジャボチカバ号
写真下はジャボチカバジャム、シホンケーキ、パウンドケーキの詰め合わせ

詳細はこちら西川農園ウェブサイトをご覧ください。

ジャボチカバを描く

ジャボチカバ (学名:Myrciaria cauliflora、英語: Jabuticaba) はフトモモ科、キブドウ属の常緑高木で、白色の花が幹に直接開花し、結実するのが大きな特徴で、キブドウ属の名称の由来にもなっています。

ジャボチカバ

本国ブラジルでは栽培品種が7~8種類ほどあると言われているようですが、のし川農園さんには2品種栽培されていました。永野さんが描いたのは、四季なりの品種だったそうで、私が描いたのは葉がちいさく原種に近く少し地味な品種のほうでした。花柄も若干長めなので四季なりの品種より実が少しぶら下がって見える感じです。

ジャボチカバの花を見たときに、突然ミズレンブの花を思い出しました。そうそうどちらもフトモモ科の植物だったのです。ジャボチカバはブドウの様な実ですが、ミズレンブはサクランボ色した巨大なUFOみたいな実です。実だけみれば全然違いますが、葉の付き方や花を見ていると何故か不思議と共通点を感じてしまいます。こうして感じる共通点や相違点を作品のなかで積み上げていく事こそがボタニカル・アートとして一番大切な事なのです。今回の取材では、4月に始めだったこともあり開花の端境期に入っていたようで、沢山の花は見られませんでした。ネムの花の様なフワフワの雄蕊がかわいらしい花でした。

前述のように、今回は花の時期に恵まれませんでしたので、実だけをデッサンしてきました。時間的にも制約がありましたので、枝先を描き、後で主幹についている沢山の花や実を描くことにしました。

樹木を描くときはまず、樹形を考えます。よくありがちな失敗は描き易い所を描いたら、樹形が伝わらなかったというケースです。主幹に対してほとんどの枝は斜上してついているのに、下の方の描き易い枝を描いてしまったなんてことがないようにしましょう。ジャボチカバは太さのある主幹に対して横ばりに細めの枝が伸び春先は枝先に沢山の葉をつけ、幹に近い方はあまり葉がありません。原産地ではもう少し、葉を付けているようですが、日本では少し葉を落として冬を越しているようです。

ジャボチカバは構図がとても難しい植物でした。本来であれば、大きな画面にうっそうとした葉や実を描くのが良いのでしょうが、それだとあまりに作業量が増えてしまうので、横位置の構図にして、尻つぼみにならないよう葉と実のバランスをとりました。実は少し小さいものがありましたが、西川さんによると、自生地ではあまり大きさのバラつきがないとの事でしたので、平均的な実にあわせて、少し大きく描き直しました。原種系のものを描く時は自生地の姿に近くなるように描くのも大切です。約2時間半ほどかけてのスケッチ....
「横浜に戻って描いても大丈夫かな....!?」と思えるところまで描いて終了しました。

天井の高い、温室の中でするデッサンはとても心地よいものでした。
「庭にこんな温室があったらどこにも行きたくなくなってしまうかも....」
と思いながらのジャボチカバデッサンの旅でした。

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