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伝統の朝顔展~くらしの植物苑 2015年7月30日

伝統の朝顔展~くらしの植物苑 2015年7月30日

画像の説明

くらしの植物苑は国立歴史民俗博物館によって生活文化を支えてきた植物に対する理解をより深める為に開設されました。この植物苑は【食べる】【織る・漉く】【染める】【治す】【道具をつくる】【塗る・燃やす】の6つのテーマで植物を展示しています。

私たちの生活にとけこみ、多くの人々に愛されてきた植物は数多くありますが、夏と言えばなんといっても朝顔ではないでしょうか。今回、くらしの植物苑では季節の伝統植物「夏」として「伝統の朝顔」を特別企画として開催しています。

朝顔は古くから多くの人々に親しまれてきました。特に江戸時代以降になると、文化・文政・天保期嘉永・安政期、明治・大正期など、繰り返し朝顔ブームが訪れ、そのたびに葉と花の多様な変化や組み合わせを楽しむ「変化朝顔」がつくり出されてきました。現在ではさらに西欧の品種が取り入れられ、新たな朝顔ブームが巻き起こっています。これらの「変化朝顔」を観賞するうえでのお約束を簡単にご紹介しましょう。

変化朝顔の多様な系統について

朝顔は様々な突然変異を起こす遺伝子を持っています。単独で形に現れることもありますが、多くは突然変異が組み合わさって現れます。
変化朝顔には単純な突然変異がみられ、どの株からも種が出来る「正木系統」と比較的変化が単純で種子が採れる株と、葉も花も変化に富んでいるかわりに種子が採れない株に分離する「出物系統」の2つに分かれます。
どちらの系統でも、変異は双葉、本葉、花、茎とさまざまな部分に連鎖して現れるため、葉や茎で楽しみことができます。

変化朝顔の名称について

江戸時代に発展した園芸植物の中で、変化朝顔には特異な名称がつけられています。嘉永・安政期の第二次ブームの時にその基本が出来上がりました。それは葉の色、模様、質+花の色、模様、花弁の形、咲き方、花弁の重ねを順番に記述し、必要に応じて付け加えていくというものです。

たとえば、「黄斑入渦柳葉紫撫子采咲牡丹」を見てみましょう。緑色の部分が葉についての記述です。黄葉の斑入で「渦」と「柳」の突然変異が入った葉であることを示しています。赤色の部分は花に関する記述です。紫色の撫子のような花弁で、采咲という細かく切れた咲き方、そして多弁化した「牡丹」であることを示しています。
また、ここでは示されていませんが、花の模様についても記述されます。以下に葉の名称、花の咲き方の名称、花の模様の名称について画像をご覧下さい。

画像の説明


画像の説明


以上、説明、画像はくらしの植物苑リーフレット及び説明パネルより

アサガオの名称記述についての考察

この植物苑の素晴らしい所は、日本の植物を中心にすえ、ただ単に有用・園芸植物と分かるだけでなく、日本人の生活の中に息づく植物文化を紹介している点です。特にボタニカルアーティストとして「さすが」と思ったのはアサガオ展でのアサガオのネームプレートの記述です。

私たちボタニカルアーティストが絵を描く際、形態分類に従って観察することが大切であることは皆さんご存じだと思いますが、その観察のポイントをこのネームプレートは言葉で表現しています。アサガオは一年草ですから、交雑もしますし、同じ花を毎年咲かせるのは大変なことです。しかしこういった植物の場合は逆に変異を楽しむことができます。変異が多く、固定しない植物には種名が付きません。もちろん東洋ランのように一個体に対する名前が付く場合もありますが、それは図鑑に載る種名とは異なります。その際、名無しの植物の名前に相当する説明がこのネームプレート1枚に表現されているのです。葉・茎・姿・花色などが植物用語で記述され、どんなアサガオなのかが頭に浮かびます。このイメージトレーニングがボタニカルアーティストには大切です。

スライドショーで記述と実際のアサガオの画像を比べてみて下さい。

Frame

苑内の展示構成について

くらしの植物苑内のハウス、東屋、よしず展示場に、苑で栽培・育種した鉢植えの朝顔が展示されています。展示内容は以下のとおりです。
●変化朝顔 正木系48系統、出物系31系統
※歴博で2005年に発見された無弁花朝顔と新たに寄贈を受けた10系統を含みます。
●明治時代以降の大輪朝顔 30系統程度
●ヨーロッパ・北米産の近縁の朝顔 28系統程度
計約137系統、約700鉢を展示されています。

では、簡単ではありますが、動画で苑内の正面入り口と東屋に展示されている変化朝顔をご紹介致しましょう。

期間、会場、交通アクセスについて

開催期間 2015年7月28日(火)~2015年9月13日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑
詳細は国立歴史民俗博物館ホームページをご覧下さい。
国立歴史民俗博物館ホームページくらしの植物苑

尚、お出掛けの際は植物の性質上、なるべく開園同時の早朝に行かれることをお勧めいたします。アサガオは前日の日の入りからおよそ10時間後に開花するといわれております。日によって開園時間が繰り上がっている日もございますので、あらかじめご確認下さい。

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