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種山ヶ原の猿

種山ヶ原の猿

サルノコシカケ

楢夫は、じっとそれを眺て、ひとりごとを言いました。
「ははあ、これがさるのこしかけだ。けれどもこいつへ腰をかけるようなやつなら、すいぶん小さな猿だ。そして、まん中にかけるのがきっと小猿の大将で、両わきにかけるのは、ただの兵隊にちがいない。いくら小猿の大将が威張たって、僕のにぎりこぶしの位もないのだ。どんな顔をしているか、一ぺん見てやりたいもんだ。」そしたら、きのこの上に、ひょっこり三疋びきの小猿があらわれて腰掛けました。やっぱり、まん中のは、大将の軍服で、小さいながら勲章も六つばかり提げています。両わきの小猿は、あまり小さいので、肩章がよくわかりませんでした。

サルノコシカケ科(サルノコシカケか、Polyporaceae)は、ヒダナシタケ目に属する科の一つです。宮澤賢治の童話「さるのこしかけ」は少年、楢夫が自宅裏の栗の木に生えたサルノコシカケを見つけた事から、猿たちの遊び場である種山が原に案内され、猿たちの軍事演習の胴上げで地面に落とされそうになるものの山男に抱き上げられ、気が付いたら楢夫の自宅の前庭に戻っていたというお話です。猿たちの遊び場として登場する、種山ヶ原(たねやまがはら)は、岩手県奥州市、気仙郡住田町、遠野市にまたがる物見山(種山)を頂点とした標高600-870メートルに位置した高原地帯で、賢治がこよなく愛した高原として知られています。賢治は種山ヶ原の風景や気象を題材に多くの詩や小説を残しました。

宮澤賢治 童話・さるのこしかけ
写真:wikipedia~サルノコシカケ

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