梨の短果枝
2015.09.30
カテゴリ:イーハトーブの植物園
梨の短果枝
花芽や果実をつける枝を結果枝と言いますが、その伸び方の度合いで短果枝、中果枝、長果枝などに分けらます。このような単語が詩の中に出てくるのは賢治ならではではないでしょうか。
截られた根から青じろい樹液がにじみ
あたらしい腐植のにほひを嚊ぎながら
きらびやかな雨あがりの中にはたらけば
わたくしは移住の清教徒(ピユリタン)です
雲はぐらぐらゆれて馳けるし
梨の葉にはいちいち精巧な葉脈があつて
短果枝には雫がレンズになり
そらや木やすべての景象ををさめてゐる
(中略)
そんならもうアカシヤの木もほりとられたし
いまはまんぞくしてたうぐわをおき
わたくしは待つてゐたこひびとにあふやうに
応揚(おうやう)にわらつてその木のしたへゆくのだけれども
それはひとつの情炎(じやうえん)だ
もう水いろの過去になつてゐる
ナシ(梨)は、バラ科ナシ属の植物です。
梨が実る季節になりました。
宮澤賢治 詩・過去情炎
写真:wikipedia~ナシ