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日本植物誌~ヒメウツギ

日本植物誌~ヒメウツギ

ヒメウツギ

ヒメウツギ(姫卯木、学名:Deutzia gracilis)はアジサイ科ウツギ属の落葉低木です。日本固有種で、本州の関東地方以西、四国および九州に分布し、温帯から暖帯にかけた河岸の岩上の日当たりのよい場所などに生育します。シーボルトの覚書には深山にしかないと書かれていますが、行動を厳しく制限されていた鎖国下の日本では直接観察することは出来なかったであろうことが容易に想像できます。ウツギ属の種の区別には、星状毛や雄しべの花糸の形状など、微細な特徴にありますが、これらの特徴をご紹介した3種のウツギ属の図はこまかな解剖図を描く事で応えています。日本の植物をこうした微細な形状まで図解したのはシーボルトが最初と言われています。これらの植物画の植物学的正確さは、多くの下絵を描いた川原慶賀ら日本人絵師による実物を写生したことによるところが大きかったのですが、それらの下絵は当時の植物画のスタイルからはずれていたため、そのままでは図版とはならず、下絵から原画を作成する段階で植物画の体裁にこだわった製版画家、花つきや実つきのよさを求めたシーボルトやツッカリーニの要求により修正、構成されました。これが日本植物誌の一部の図版に不自然で見劣りがするものがある原因になっています。科学的な視点を要求したヨーロッパと美術的な視点を重視した日本との出版物に対する当時の読者層の違いがこのような立場の違いを生んだのかもしれません。

植物画:ヒメウツギ 京都電子図書館
参考資料:シーボルト 日本植物誌 大場秀章監修・解説
wikipedia~ヒメウツギ

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