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香りのエッセンス~ネロリ

香りのエッセンス~ネロリ

蜜柑の花

にわかに湿気をおびてきた風に梅雨の気配を感じる頃になってきました。例年の関東地方の梅雨入りは6月の8日頃ですが、今年はちょっと遅れ気味とか。部屋に湿気がこもり、カビ臭くなりがちな季節ですが、エッセンシャルオイルを上手に使えば、そんな雨のシーズンを爽やかに過ごすことが出来ます。

エッセンシャルオイル(=精油)は植物の花、葉、樹皮、樹脂、根、種子などから抽出した天然の素材で、有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質の事です。ペパーミント、ラベンダー、カモミール、マジョラム、ローズマリーなど様々な種類がありますが、中でも5月の爽やかな風に運ばれるミカンの花の芳香を彷彿とさせるネロリの香りには、消臭効果だけでなく、気分を明るくしリラックスさせ、ストレスを和らげる効果が期待できます。

ネロリ(Neroli)はダイダイ(ビターオレンジ)の花から水蒸気蒸留法によって得られる精油のことで、花1kgから精油1gしかとれないと言われる貴重なものです。

ネロリの名前の由来は、17世紀のイタリアのブラッチャーノ公妃であるマリー・アンヌ・ド・ラ・トレモワイユは、夫であるフラヴィオ・オルシーニとともにネーロラのオルシーニ城に住んでいたことからネーロラの公妃と呼ばれていました。この公妃が愛用していた、ダイダイの花の精油による香り付けがされた賦香手袋を、その香りのよさから彼女の手袋は「ネロリの手袋」と呼ばれ、精油はネロリと呼ばれるようになりました。

当時のヨーロッパの貴族社会では、革製品の悪臭を精油によってカバーしたこの賦香手袋が流行していました。なかでもフランスの手袋作りは昔からの産業で、1190年には、手袋作りを規制する法案がフィリップ2世によって可決されました。
香料を染み込ませた手袋の技術は16世紀初頭から実用化されはじめ、特定の卸商人や親方や職人が権利を受けて、手袋の製造と香料の販売にあたりました。
そんな経緯でフランスはグラース地方は当初、革手袋産業が盛んでしたが、今では香水のメッカといわれ、フランスの香水、香料の2/3を生産するまでになりました。

お気に入りの精油を1~2滴、ティッシュペーパーやハンカチに染み込ませれば、手軽にその芳香を楽しめますし、そのほか専用の器具を使えばお部屋の消臭にも利用できます。

化学的な芳香剤や消臭剤が身の回りにあふれている時代です。人工的に作られたその香りの強さは、時として自然が持つ微香を感じる事が出来なくなるほど、嗅覚を鈍らせます。やさしく私たちを癒してくれる植物の香りのエッセンスを楽しむのもまた現代なればこそ必要なことではないでしょうか。

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