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光を感じて発芽する種子の仕組み

光を感じて発芽する種子の仕組み

イースターエッグ

今日は春分の日です。皆さんご存知のように、春分は二十四節季の第4の節季です。一般的には春分と秋分の日は昼と夜に長さが同じとされていますが、実際の長さは昼の方が少し長いというのが現代の認識のようです。
日本ではこの日に自然をたたえ生物を慈しむという意を込めて、国民の祝日と定めています。またイラン暦を採用している国々にとっては元日にあたり、イランを中心にして、中央アジアからアフリカまでの広い地域では祭日とされ、ヨーロッパでも春分の日をもって春の開始とし、いくつかの国では休日とされています。そして、3月の最終日曜日は夏時間に切り替わります。また、キリスト教の国々では、この春分は春の到来を祝う日以外に重要な意味を持った日でもあります。それは、この春分の日(3月21日)から数えて最初の満月の次の日曜日にイエスキリストの復活を記念する復活祭(イースター)という宗教行事を数える起点となっている日でもあるからです。ちなみに、2014年は4月20日が復活祭だそうです。

この復活祭には、イースターエッグと呼ばれる、彩色や装飾を施したゆで卵が出されます。これは、見た目には動きもしなければ鳴きもしない、卵から新しい生命が生まれることから、キリストの死と復活の象徴としているからです。

さてこの卵が死と復活の象徴であるとしたら、種子もまたそれに準ずるものとして、見ることが出来ます。春分の力強い陽光が、まるで、冬の間眠っていた種子を起こすかのように、数々の植物が芽吹くこれからの季節は、冬の枯野を生命あふれる草原に変える、まさに復活の季節と言えますが、この種子たちはいったいどうやって光を感じているのでしょうか?

双葉

発芽の条件とは「適切な温度」「水」「空気~酸素」の3条件と言われています。光が入っていませんが、植物の種類によって発芽に光を必要とする光発芽種子と光があたると発芽が抑制される暗発芽種子があるので、必ずしも発芽に光は必要ないのです。しかし、多くの植物は、発芽後の芽生えが、光合成が出来るまでさらに成長するためには光は必要です。そのため、発芽に必要な3条件の他に発芽した後にも成長できる光があたっているかどうかを自分で見極めて発芽しているのです。

「種が光を感じている」と言われてもピンとこないのではないでしょうか?「葉が光を感じている」と言われればなんとなく納得できます。それは葉が光合成のために光を利用するのは良く知られているからですが、そのとき葉が光を感じることが出来るのはクロロフィルという光を吸収する物質があるからです。クロロフィルは葉緑素とも呼ばれています。また、私たちが目で光を感じているのも、目にロドプシンという物質をもっているからです。このように光を感じるには光を吸収する物質を持っている必要があります。では種はどんな物質を持っているのでしょうか。

多くの植物の種にはフィトクロムと呼ばれる光を吸収する性質を持った色素によって光を感じています。この物質は光の中でも赤色光が当たると発芽を促進するフィトクロムのpfrというタイプができ、これが種の中で植物ホルモンであるジベレリンの合成を促し、このジベレリンが発芽を促しています。
そして、この芽は上を目指し、根はひたすら下を目指して成長していきます。これも芽や根が重力を感じているからに他なりません。小さい中に数々の生きるための仕組みをそなえた種は小さな命の化学工場です。
写真:wikipedia
参考資料:wikipedia,タネのふしぎ 田中修著

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