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開閉するチューリップの花の仕組み

開閉するチューリップの花の仕組み

チューリップ

三寒四温は、本来、冬に寒い日が3日ほど続くと、その後に暖かい日が4日ほど続き、また寒くなるという7日周期で寒暖が繰り返される現象を言うのだそうです。その原因となる、シベリア高気圧の影響を強く受けて、現象がはっきり現れる朝鮮半島や中国東北部と違って、太平洋高気圧の影響も受ける日本では三寒四温がはっきり現れることはありませんが、春先になると低気圧と高気圧が交互にやってきたときの気温の周期的な変化という意味で使われています。そんな春を告げる「三寒四温」ですが、日本の各地から様々な花の開花情報を運んで来てくれます。

九州は長崎のハウステンボス、オランダ語で森の家の意味だそうですが、日本最大の650種、66万本にものぼるチューリップが咲き始めたようです。さて、このチューリップですが、世界で最初の「花屋さんの花」であり、17世紀オランダでチューリップ愛好家やフランドル派の巨匠ルーベンスら芸術家達が競い合って入手したため、当時はひとつの球根にばからしいほどの高値がついて取引されていたそうです。

春先になると咲きはじめるチューリップですが、昼間は開いて、夕方には閉じ、翌朝の10時頃にはまた開きます。これはどのような仕組みで引き起こされるのか?調べてみました。

まっさきに考えるその原因といえば、日照を思い浮かべますが、照明をつけずに暖房しておくと、夜でも開くことから温度が関係している事が分かっていて、20度くらいで開き5度くらいで閉じるそうです。

閉じた花弁を20度に移すと細胞への水の出入りに必要な水チャンネルと呼ばれる特別なチャンネルにリン酸基という化合物が導入され活性化されることにより、茎から花びらへの水の移動が開始されると花弁下部にたまった水により膨圧が高くなってチューリップの開花が促されます。開いている間はどんどん水が送り込まれ、余分な水は気孔から空気中へ蒸散していきます。夕方になって気温が下がり始めると、水チャンネルに導入されたリン酸基を切り離す酵素が働いて水チャンネルが閉じて水の移動が少なくなり膨圧が下がり花弁が閉じます。
つまり、チューリップの花弁の開閉は、急速に成長を促すために必要なたくさんの水を汲み上げるポンプの役割の一環をになっている大事な現象なのです。
画:吉田桂子
記事:編集部

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