花のある生活
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2015.10.07
秋夕暮に咲く
おしろいばなは十月に白き花咲き実を結ぶなりその草に降る日ざしのなかにおしろひばなはあわたゞしくもオシロイバナ(白粉花、学名:Mirabilis jalapa)はオシロイバナ科の多年草または…
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2015.10.06
黄金のかんむり
ある死火山のすそ野のかしはの木のかげに、「ベゴ」といふあだ名の大きな黒い石が、永いことじぃっと座ってゐました。「ベゴ」と云ふ名は、その辺の草の中にあちこち散らばった、稜のあるあまり大きくない黒…
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2015.10.05
秋の音色
北いっぱいの星ぞらにぎざぎざ黒い嶺線が手にとるやうに浮いてゐて幾すぢ白いパラフヰンをつぎからつぎと噴いてゐるそこにもくもく月光を吸ふ蒼くくすんだ海綿体カステーラ萱野十里もをはりにな…
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2015.10.02
サルトリイバラ燃ゆ
青い抱擁衝動や明るい雨の中のみたされない唇がきれいにそらに溶けてゆく日本の九月の気圏です(中略)七つ森第二梯形の新鮮な地被(ちひ)が刈り払はれ手帳のやうに青い卓状台地(テーブルラン…
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2015.10.01
ギンナンの実る頃
融銅はまだ眩(くら)めかず白いハロウも燃えたたず地平線ばかり明るくなつたり陰(かげ)つたりはんぶん溶けたり澱んだりしきりにさつきからゆれてゐるおれは新らしくてパリパリの銀杏(いてう)な…
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2015.09.30
梨の短果枝
花芽や果実をつける枝を結果枝と言いますが、その伸び方の度合いで短果枝、中果枝、長果枝などに分けらます。このような単語が詩の中に出てくるのは賢治ならではではないでしょうか。截られた根から青じろい樹…
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2015.09.29
収穫の秋
人はやっぱり秋には禾穂を叩いたり鳴子を引いたりするけれども氷点は摂氏十度であって雪はあたかも風の積った綿であり柳の波に積むときもまったくちがった重力法によらねばならぬ夏には雨が黒…
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2015.09.28
海鳴り遠く
宮澤賢治は1924年5月21日、花巻農学校の教師時代に修学旅行の生徒を引率して、北海道は苫小牧を訪れました。賢治が書いた「修学旅行復命書」にはこの夜のことを「八時苫小牧に着、駅前富士館に投ず。パル…