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枝垂れの謎

枝垂れの謎

シダレウメ

3月に入っても連日寒い日が続きますが、日本気象協会による、東京都心のソメイヨシノ開花日予報では、昨年より15日遅れ、平年では5日遅れの3月31日との事です。過去87年間の開花日データによりますと、4月になっての開花は22回で、1988年の4月2日を最後に、25年もの間、3月中旬~下旬には開花しているところをみると、今年は寒いとはいえ、開花日が4月にずれこむほど寒くはなかったともいえそうです。サクラの開花はともかく、同じバラ科サクラ属の落葉高木であるウメは満開のようで、ここ横浜でも枝垂れ梅が満開を迎えており、その姿はまるで吹き上げる梅の噴水のようです。さて、この枝垂れウメ、枝垂れサクラは何故枝垂れるのでしょうか?まず、その答えを調べる前に、普通の樹木は何故垂れないのか?を調べてみました。
幹の年輪の中心は必ずしも中央ではありませんが、ほぼ同心円状に並んでいます。ところが、サクラなどの被子植物の枝の場合、年輪は同心円状ではなく、枝の上で広く、下側で狭くなっています。つまり、枝の上半分の方が下半分よりも発達していて、結果枝を引っ張り上げる事になり、枝垂れないと考えられています。この上半分の部分の材は「引っ張り上げ材」と呼ばれています。では、枝垂れている種の枝はどういうメカニズムなのでしょうか。枝垂れている種の枝は年輪の上半分と下半分の差が無く、引っ張り材が発達していません。枝が上に向かって伸びるのは枝の先端部でオーキシンという植物ホルモンが伸長成長させ、ジベレリンというホルモンが肥大成長させることで生じますが、何らかの原因で枝の上側にジベレリンが作用せず、肥大成長できずに枝が重力に抗しきれなくなり枝垂れるそうです。しかし、植物本来の性質上としては、異常ですから自然界では他の植物との競争に敗れ、一般的には枯れてしまいます。枝垂れる種は人が世話をする事のみで育つ、いわば、突然変異種という希少価値を愛でる観賞目的で守られてきた種とも言えそうです。
編集部記

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